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花〜大切な人へ〜 作者:lover

第18回   それぞれの道



こんなに誰かを欲しいと思ったことはない。





何を捨てでもどうしても欲しいって思ったのは初めてだった。






会いたい。


もう叶わなくても会いたい。








今日から新学期だ。


今年はすでに暑さがなくなっていて、もう空は秋模様だ。




「桜井ー、宿題だせや。」


「あ、司君、おはよ。」



私と司はあいかわらずだ。

前より距離はだいぶ縮まったが、友達以上恋人未満を保っている。



お互いが意図的にそうしているんだ。


私は、夏休みに比べるとだいぶ春喜のことを吹っ切れてきた。
それでも誰かを好きになって、そしてつきあえばまた傷つけてしまうような気がして一歩を踏み出せずにいた。

司は司で、絶対に自分から告ったりしないだろうし、正直私のことが好きかどうかもわからない。他の女子とは違うというのはなんとなくわかるが、女として見られてないのかもしれないし。。



何はともあれ、少しずつ私も歩き出してはいる。


時々春喜の夢を見て、涙で濡れた枕におぼれ目覚める朝もある。

学校で春喜の姿を見ては、ぼーっと立ち尽くすこともある。



正直、また元に戻れるんじゃないかって思ったら何年だって待っていられる自信がある。



それくらい欲しいと思うから。




だから何年でも、何十年でも待ってやろうって思ったりもする。




だけど、春喜はもう【桜井奈緒とはつきあわない】と頭で思っているかもしれない。

意識はしていなくても、よほどの別れ方の場合、人は一度好きになった人間でももう一生好きにならないと思うことがある。



そういう気持ちが春喜の頭にないとは限らない。




何十年待ち続けても、いつか死んで天国へ行っても、もうあの日々は戻らないかもしれないんだ。





だから私は、新しい恋へと進もうか、それとも苦しくても切なくても待ち続けるか、今でも葛藤している。






何度も考える



幸せだったあの時



あのときこうしていれば



このときああしていれば




何よりも欲しかった幸せな愛を当たり前だと思い気づかなかった



どれだけ大切なものなのか



どれだけ自分にとって必要なものなのか



どれだけあの人を好きなのか





幸せを幸せだと思わずに、たくさん傷つけて、すれ違って、壁ができて


いや、壁はできたんじゃない

作ったんだ





でもあのままそばにいれば

春喜を押しつぶしてた



私の不信と不安で




だから壁はできてよかったんだ




大好きな春喜のために



大好きな春喜の笑顔のために










「春喜ぃー、今日部活に顔出すんでしょ?お弁当作ってきたよー。」



部活はもう引退したものの、たまに顔をだしたりしている。

今日も始業式のあと、部活へでるつもりだった。



「あ、サンキュ。」


サチは料理とかが本当に得意で、よくお弁当を作ってくれる。


すごくおいしい。




「一緒に食べよ!あたしも今日は委員会で残りなんだ。」



ほとんどの人が体育祭のための委員会や準備で午後も残るため、いろいろなところでお弁当を食べている。


俺たちはテラスのベンチで食べることにした。




空はもう秋。


暑くもなく、寒くもなく、ほどよい気温が思わずあの日を思い出させた。




9月15日




小学校のときからずっと気になってはいた。

どんなときでもしっかり自分を持とうとする姿をいつも目で追っていた。



3年経って、やっと自分の思いを伝えることができたんだ。





「サチ、食べよっか。」



「うん!今日はねぇ、玉子焼きがぁ・・・」




今、そばにいる人を大切にする。



今、俺の愛を信じてくれるサチを誰よりも愛しく思う。




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Novel Editor by BS CGI Rental
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