夏休みもすでに残り一週間となった。
この時期になると、二学期に入ってすぐに行われる体育祭の準備で毎年忙しかった。
今年も私は、ほとんど毎日学校へ行っている。
本番で行う種目の設定、それが決まったらクラス練習、本番に向けての細かい道具の確認やどういうふうにするかとかそういう細かいことまで生徒会と一緒に遅くまで決める。
運動会までのこの時期が私は大好きだった。
忙しいけど、それが逆に充実して思えるのだ。
きっと将来仕事ばっかりやってる女になるのかなぁなんて思ったりもする。
「だーかーらー!それはどう考えてもおかしいですって!だってグラウンドを一周するのに何分かかると思ってるんですか?」
「桜井、お前なぁ・・・。司、少し黙らせろ。」
「委員長、うるさいよ。」
こんな感じでわいわい楽しんでいる。
でも忘れたわけじゃない。
学校が始まれば毎日あの二人の幸せそうな姿を見なければならないのだ。
果たしてそんなの耐えられるのだろうか。
無理だろう。
サチからあのあとすぐに返信がきた。
『本当にごめんなさい!あたしも奈緒のこと本当に大好きだよ。』
サチを責めるつもりはこれっぽちもない。
サチが悪いわけじゃないから。
ただ・・・春喜の笑顔を守るためには、私が好きな人ができたふりして二人を応援しなければいけない。
私が春喜を好きだとサチにわかれば、サチは私に対して変にビビって別れるだろう。
それは春喜の幸せを奪うことになるから。
もし今まで春喜を幸せにしていたのが私だとしたら、私がそれを壊したことになる。サチのことで不安だと言っても、信用していないのはつき合い始めてからもずっとそうだったから。
だから、今、私にできるのは二人を応援する。
それしかできない。
春喜がいなくても明るく普通に生活しているということをサチにわからせなきゃいけないんだ。
「でもさー、男子の団体種目はうちのクラスもらったも同然だと思うんだよねぇ。」
帰り道、家が近いので最近は司と一緒になることが多い。
「まぁ確かにな。代表リレーもいけるだろ。陸上大会のときのメンバーで行けば勝ちだろうな。」
「あぁー・・・でも楽しみだなぁ・・・。2学期始まったら、朝練とか放課後練とかするじゃん!!あの雰囲気が好きー!」
「わかるっ!なんか楽しいよな。」
「うん!!!あとねぇ、本番の朝も好きなのー。」
司といるとすごく楽しかった。
春喜と別れる頃から私はおかしかった。
自分のことしか考えられず、クラスのことも、友達のことも、そして春喜自身を大切にすることができていなかった。
そんな過ちを司の何気ない優しさが「もう無理しなくていい。もう大丈夫だよ。」って言っているような気がするのだ。
好きになるならこの人がいい。
段々とそう思えてきた。
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