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花〜大切な人へ〜 作者:lover

第14回   新たな笑顔


夏休みは何事もなく淡々と過ぎていった。





受験生ということを忘れ、ただ毎日ぼーっと過ごしていた。






外に出れば春喜と会うかもしれない。





会いたい・・・けど、会ったら涙が止まらなくなるような気がした。







8月に入ってすぐに夏祭りが行われた。


地元の広場でやる小さいお祭りだが、学年の仲の良い男女がそろい、お店を出す友達がいるのでそこでみんなで騒ぐのだ。

もちろん昨年も春喜は来ていた。







ふと思えば、私は春喜と『夏』を過ごしたことがない。


去年の夏、私は春喜の彼女じゃなかった。体育祭がおわったころにつき合い始めたんだ。



今年の夏の予定、本当はいっぱいだったんだ。


海へ行って、お祭りに行って、花火をして、「暑いー」っていいながらカキ氷を一緒に食べる。




友達との約束もたくさんあったが、すべてキャンセルしていた。



いつのまにかこんなに春喜の存在が大きくなっていた。






今年のお祭り、私は久々にはしゃいだ。


友達がみんな気をつかってくれている。

サチもきた。



サチはいつもより妙にべたべたしてくる。


仲良くしようとしてるというより、媚びているって感じだった。





サチのことでも気にかかることがあった。

春喜の新しいアドレスに【S】が入っていた。

そして、学校の補習授業では同じカンペンを使っていた。



偶然であってほしい。


春喜にふざけた感じで聞いてみたが、春喜は「そんなわけない」と言っていた。




私とつきあっていたときもそうだったけど、最近はまたさらにイライラしてるような気がしていた。




でも3日前の補習のときは、すごく穏やかで以前のような優しい感じだった。






何があったのだろう?




ただどうしてもサチが気になった。



もしかしたら?




そんな不安を消せずにいた。






でももしそうでも前向きに考えようと思った。



司のことも気にならなくはない。




こうやって友達とはしゃいで、好きな人を作って、そうやってすれ違いの悲しい恋は忘れていくんだろうと思ったんだ。








そして思ったとおり、今年も春喜はきた。





人より高めの身長、がっちりして太すぎず細すぎずの程よい肉付き、一見近寄りにくそうな整った顔立ち、私の知らない日焼けした肌。




そして幸せそうに笑う顔。





あの顔は、約1年前私とつき合い始めたころの顔立ちだ。







そして葵たちは春喜が来るなり慌てだした。



「あ、奈緒!!あっちでさ、かき氷買って来よう?!」


「奈緒、あたしおなかへっちゃったぁ!」





「え、なんなの・・・?」




みんな私の腕や肩やらを掴んだまま、その場から立ち去らせた。







そして気づいたんだ。





一緒に来た子たちは今必死で私の腕を掴んでいるのに、サチだけはその場で笑顔であるところを一点に見つめていた。





サチが見つめる先には、私の悔やんでも悔やみきれない笑顔があった。








涙が止まらない。



泣くつもりなんてない。





だけど、ここにいる友達はきっとみんな知っていた。


お店に残っている男子たちも気まずそうだった。





ただ・・・春喜とサチのお互いを想い合う笑顔がそこには咲いていた。







黙りこくっている私に葵がぽつんと言った。











「春喜ね、彼女できたよ。」










頭を岩で殴られたような・・・そんな感じだった。





彼女?




彼女って何?





私じゃないの?







どうしてサチに笑顔が向けられているの?








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Novel Editor by BS CGI Rental
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