「ハルくん・・・あたし・・・ハルくんのこと大好きだよ。」
「・・・・。」
「だから今だってこれから先だって司のことなんて好きにならないよ。」
「・・・・別に司だけじゃないよ。」
「・・・ごめんなさい、ほかの男子は・・・気をつける。」
「・・・別にいいけどね。」
「・・・ハルくん?あたしはね、ハルくんのこと信用してないわけじゃない。ただ頼れる人はハルくんだけだから、不安になるとハルくんにまで嫌われたらどうしようって思っていつも好きかどうか聞いちゃう。あの」
「それが信用してないってことでしょ?ケンカしてもいつも謝るのは俺。俺が悪くないのになんで俺が謝ってんの?毎日、毎日奈緒のためだけに生きてるみたい。試合があるのは仕方がないだろ?ってかその合間の休みだって友達と遊びたいときだってある。俺だって奈緒のこと好きだよ。だけど、自分の時間もなくして、縛り付けられて、『ハルくんはそういう存在』みたいな扱いされて・・・どうすればいいわけ?俺、奈緒のためになんでもしてきたよ。それでも奈緒はそれ以上のことを求める。いったいどうしたらいいかわかんないって・・・。」
『縛り付けられて』
そういうふうに思われていたなんてわからなかった。
いつも、いつも過保護で、それでちょっと甘えん坊なところもあって、でもいつも奈緒、奈緒って言ってくれて・・・奈緒がいなきゃ生きていけないとまで言われて・・・。
最初はあきらかに春喜の気持ちのほうが大きかったと思う。
今だってそうだと思っていた。
私だって春喜がいなきゃやっていけないけど、春喜だってそうなんだって思ってたんだ。
でもそれはただの自惚れ。
いつのまにか春喜の気持ちより私の気持ちが大きくなって、春喜を押しつぶしていた。
「・・・ごめんなさい・・・。」
「もういいよ・・・なんか・・・無理だよ。」
え?
「俺がこんなんで・・・お前のこと支えられるわけないよ。ってか絶対に寂しい思いさせる。こんなんじゃ。奈緒、無理だろ?」
確かに無理かもしれない。
もしもここを乗り越えても、きっと私たちの間には大きな壁ができる。
その壁は、今度は私を押しつぶす悲しくて寂しい壁だ。
そして私は、さらに春喜を押しつぶす。
「・・・奈緒、もう別れたほうがいいとおもう。奈緒が決めていいよ。どうする?」
「・・・わかった。別れよう。」
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