「かわいー!!!!!梨花ぁ、写真撮って〜!!!」
奈良公園に咲の声が響いた。そしてシャッター音につつまれ咲は鹿を背景に俺に抱きついた。
「悠、ちゃんと部屋に飾るんだからね!!!」
こいつは何も考えていない。こんなふうにちょっと抱きつかれるだけで俺の体は敏感に反応してしまうんだ。
「おい、悠〜!エースさんに見られたらただじゃ済まないだろうなぁ。」
俊太郎が俺を茶化す。そりゃそうだろう。こんなの見られたら・・・?
「あ、慎くん!!!慎くんたちもここ来たの?!」
エースの御出ましだ・・・。
「・・・松沢、まさか部屋に飾ったりしないよな?」
相当キレている。当然だろう。大事なお姫様がほかの男に抱きついてるのを目の前で見たんだ。ただそれが学年一ケンカが強い慎也なだけ。
だけど俺はここで「飾るわけないだろ」なんて言いたくなかった。なぜだか、今日このときだけは反抗したくなった。いつもなら軽く交わすのに。
「・・・飾っちゃダメ?」
「まぁまぁ!!!慎也、これはお前の大事なお姫様が何もわかんないでしたことなんだからさぁ!!!」
俊太郎が慌ててフォローをした。 だけどその大事な俊太郎の助け舟も俺はことごとく無駄にした。したくなった。
「ごめん、俺、この写真大事にさせてもらうわ。」
「・・・お前、本気で言ってのかよ?」
俺の班員、慎也の班員はみんなあたふたとしている。ただ咲だけは・・・
「慎くん、やめて。あたしが勝手にしたことだよ。あたしに怒って。」
こういう修羅場でやたら堂々とする。
「咲はあとで話そう。俺が今言ってるのはこいつだよ。」
咲と話すときはえらく優しくなる。本当に咲に弱いらしい。 そして今度はえらくきつい目で俺を見た。
「咲が抱きついたのはわかるよ。だけどその写真を飾ること否定しないんだよな、会長?」
『会長』の言葉にプチっときてしまった。
「しねーよ。財布にだっていれてやる。携帯で撮って待ちうけにだってしてやるよ。」
「悠?!」
この発言に一番驚いたのはおそらく咲だろう。
「お前、覚悟できてんだろうな?」
「あぁ。何でもしてやるよ。」
言ってしまった・・・。
わかってる。これから先、きっとこの自分の発言に後悔する日がくるだろう。ってゆーかすでに今かなり後悔してるけど。
だけど、負けない。
咲、お前に見つめてもらうために、俺は一か八かの賭けをしたよ。
もう恐れない。
君が好きだ。
|
|