佐藤はすごくさわやかなやつだった。 人懐っこくて、性格もさっぱりしてて、顔はいかにも後輩って感じの顔をしている。 憧れてる同学年も多かったろう。
それに対して慎也は、佐藤とは真逆で中学生に見えないくらい大人びてて、普通に友達いるけど友達の前でもバカなことはしないでクールに微笑してるって感じ。ただ咲の前ではニコニコしてて、学校でも先に会うと顔がまるで変わる。すごく優しい顔になって、本当に愛しそうに咲を見つめる。
俺は・・・?
「なぁ俊太郎?」
「あ?なんだよ。」
俺と俊太郎は図書館に来ていた。だいたい夏休みに入ってからは予備校に行く以外、ここで勉強していた。
「俺ってさ・・・どんな感じ?」
俊太郎は固まっていた。当然かもしれない。俺がいきなりこんな女々しいこと聞くから。
「いや、咲にさ、どういうふうに見られてんのかなって思って・・・。」
「・・・今、思考回路がおかしくなった。」
「ごめん・・・。」
「うーん・・・真中がお前のこと好きだって聞く前までは、何でもわがまま聞いてくれるお兄ちゃんって思われてるんだろうなぁって思ってた。もちろんお前も真中のこと俺らと同じで妹みたいなもんだって思ってるんだと思ってた。俺ら以上に仲良かったけどな。」
「・・・今は?」
「今は・・・甘えていいのかわかんないって感じだろうな。自分の気持ちも俺に言っちゃったわけだし、悠の気持ちも真中は知っちゃったわけだし。」
「・・・咲はこれからどうすんのかな?俺とは卒業するまでこのままでいるつもりなのかな?」
「どうだろうな・・・そこまではわかんないけど、でも真中のことだから悠か慎也、どっちが好きなのかはっきりさせようと必死でいると思うよ。」
「そっか・・・だよな・・・。」
そうだ、咲はこのまま自分の気持ちを有耶無耶にしたままにしておくようなヤツじゃない。
あいつはあいつで、必死で本当の気持ちを探してるんだ。
「だからさ、お前全然希望ないってわけじゃないと思うよ。」
「サンキュ。」
俺は微笑んで言った。
だけど最近は思う。
このままでいいんじゃないかって。
修学旅行までは、正直咲がほしくてたまらなかった。もちろん今でもそうだけど、あのときのような片思いの切なさはない。
だけど咲の気持ちを知って、慎也の咲への眼差しを見て、改めてあの二人は二人で思い合ってるんだって思った。 それに慎也のことを嫌いなわけじゃない。というか嫌いじゃなくなった。
たぶん・・・あいつは、咲がいなきゃ生きていけないだろう。
それほど咲のことが好きなんだ。
それは俺も同じだから慎也の気持ちがよくわかる。
俺は、今まで咲にとってずっと『友達』というポジションだったから、このままでも何も失くすものはない。
でもあいつは咲を手に入れてしまったから・・・。
同じように咲のことを想う人間として、なぜだか敵意を感じなくなった。
なんていうか・・・いいライバル?
だから咲のこと大好きだけど、今、あいつが咲を幸せにしてるんだからそれでいいんじゃないかって思うんだ。
咲の幸せが俺の心を満足させる。
そりゃ、咲が俺の腕の中で笑ってくれるのが一番の願いだ。
だけどそれが咲にとって一番の幸せでないと意味がないんだ。
俺もだいぶ前向きな性格になったなぁ・・・(笑)
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