修学旅行から帰ってきてからは、一言も咲と話していない。
ただ一日に何度も目が合う。
僕はいつも目で追ってるからだろうけど、でもふとした瞬間咲の方を見ると、僕より前から僕を見ていたような気がする。気だけどね。
梅雨の季節が終わって、さわやかな暑さがやってきた。これもそのうち、僕たち受験生を悩ますクドいものとなるんだろうけど。
相変わらず慎也と咲は普通だ。毎日一緒に帰って、休みの日の夜に自転車を二人乗りしてはしゃいでいたのに出くわしたこともある。
ただ最近、咲がコンビニの前で一人ぼっち待っているの時間が長くなったような気がする。そして学校ではあまり会話を交わしていないような気がした。これまた僕の気のせいかもだけど。
「そろそろ体育祭の準備始めようと思うんだけど。」
このクラスの委員長でもある俊太郎がHRでぽつりと言った。 まだ夏休み前だけど、夏休みあけてすぐに体育祭は行われるのでだいたいこのくらいの時期からはりきって準備するのだ。
「今年の3年はー・・・男子個人が超巨大障害物競走、女子個人が借り物競争・・・男子団体が騎馬戦、女子団体が仮装、男女団体が・・・めんどくさっ。二人三脚・・・。」
本当に委員長か・・・。
「んー・・・じゃぁ女子は夏休み中に仮装の準備お願いね。」
「ちょっと!男子も何か意見だしてくれてもよくない?」
副委員の永沢がいつもどおり強めに俊太郎に意見を言った。
肩にかかるかかからないかくらいのサラサラの髪がきれいな美人だった。この学年じゃあ一番モテているらしい。
よくぼーっとしている咲のめんどうをよく見ていた。咲のお姉さん的存在だ。
「そのくらい女子だけで考えろよ。こっちは騎馬戦の組考えなきゃなんねーんだよ。」
「そういう言い方ないんじゃない?体育祭もクラスマッチよ。しかも点数かなり大きいのに。」
「お前委員だろ。それくらいのこと考えろ。」
「はぁ!?手伝ってくれたって」
この二人はいつもこうだった。 そのわりには結構仲がいいのだけど・・・。
「まぁまぁ、とにかくさ、女子のは夏休みにみんなで決めよう。俊太郎、これも一応全員でやるってことになってるから少しくらい手伝わなきゃ。永沢もそれでいいよな?」
そして俺が最後にケンカを止める。
「んじゃ、先に二人三脚決めようか。とりあえずどういう決め方がいい?」
俊太郎と永沢が声をそろえて同じことを言った。この二人はいつもこのクラスをこうやって笑わせる。
「ちょ、ちょっと!なんで同じこと言うのよ!」
「それはお前だろ。真似すんな。」
「はぁ?!」
やってらんねぇ・・・
「まぁとにかくどういうのがいい?」
「背の順で決めるとかぁ!」 「足がそろわなきゃだめでしょ。」 「くじ引いてさぁ」
「んー・・・じゃぁさ、くじ引いて、とりあえず走ってみて、合わなかったら交換って感じでいい?」
「はーい!」
返事だけはこのクラスそろえる。
「全員引いたね〜?」
「はーい、同じ番号の人のところ行ってー。」
これで咲となれたら奇跡だろうな。
けっこううれしかったりして・・・
「だれか7番ー!」
咲が叫んだ。
俺の紙にかかれた番号を。
「・・・はい。」
きた。
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