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彼の恋人になりたい 作者:七原さとみ

第5回   好きです。中宗さん。
「沙保ちゃん遅いよ!1時間遅刻だよー…。」
「すいません。寝坊しました。(棒読み」

あの後…私は強制的に連れてこられた。
台詞なんて頭に入ってない。創士の真っ直ぐな想いが突き刺さる。

「若林さん、昨日はごめんね。」
「いいえ。別に気にしてません…。」

そうだった。私フラレたんだっけ?
創士のコトで胸がいっぱいになった。
私自身がよくわからなくなってきた。

「さっちゃん?どしたの〜?調子悪いわね?」
「監督さん、…私、失恋した後に他の人から告白されたんです。」
「えぇ?何ソレ?聞かせて聞かせて!」

これはショックすぎてこんな状態なんだよね?
創士とはもう終わってるはずだし。
それでもなんか…懐かしい。

「沙保さん!ちょっといいですか?」
「…?あ!西和さん。」
「ちょっと時間良い?」
「…はい。」

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「私、嘘をついたわ。」
「嘘?」
「由宇くんのこと好きよ。愛してるわ。」
「愛っ?!…、そうですか…。」

やっぱりそうだったんだ。
でもこの人も切ないな、好きな人が姉の彼氏だったなんて。

「沙保さんも好きなんでしょう?」
「でした…けど失恋しちゃいました…。もう過去ですよ…。」
「…何それ?失恋したら終わりって…。」
「だって私なんて眼中に無しですよ。あの人は今もあなたのお姉さんを見てると思う。」

「わかってるわ。それでも私は由宇くんが好き。」
「……私に言わないで下さいよ。」
「あなたも私と同じだと思ってたわ。けど、あなたは負けたの。由宇くんの思い出に。
もう気持ちが無いなら由宇くんに近づかないでよ。」
「あっ、西和さんっ……。」

よっぽどすきなんだろうね。中宗さんが。
私だって好きだったはずなんだけどね。
もう過去なのかな?…失恋したら終わりなの?…嫌。
私だって負けたくない。
えりこさんに負けたくなんかない。

「西和さん!私も好きです。中宗さんが!取らないで下さい。」
「………それを決めるのは由宇くんよ。」

負けない。
一度の失恋だって負けたくない。
創士は私の背中を押してくれてたんだ。
まだ想いはある。中宗さんが好き!

「沙保ちゃん、中宗さんが呼んでたよ?」
「中宗さんが?ありがとうございます。」

ちゃんと話したい。
あの彼女さんとは違って、私には今がある。

「中宗さん…。」
「あ、若林さん。僕の返事をちゃんと聞いてくれる?」
「はい。」
「もっと君を知りたい。…今は、これで勘弁してくれる?」
「…はいっ!」

私にもチャンスがある。
もう絶対負けたりしない。
好きです。中宗さん。
大好きです。









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Novel Editor by BS CGI Rental
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