「沙保ちゃん遅いよ!1時間遅刻だよー…。」 「すいません。寝坊しました。(棒読み」
あの後…私は強制的に連れてこられた。 台詞なんて頭に入ってない。創士の真っ直ぐな想いが突き刺さる。
「若林さん、昨日はごめんね。」 「いいえ。別に気にしてません…。」
そうだった。私フラレたんだっけ? 創士のコトで胸がいっぱいになった。 私自身がよくわからなくなってきた。
「さっちゃん?どしたの〜?調子悪いわね?」 「監督さん、…私、失恋した後に他の人から告白されたんです。」 「えぇ?何ソレ?聞かせて聞かせて!」
これはショックすぎてこんな状態なんだよね? 創士とはもう終わってるはずだし。 それでもなんか…懐かしい。
「沙保さん!ちょっといいですか?」 「…?あ!西和さん。」 「ちょっと時間良い?」 「…はい。」
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「私、嘘をついたわ。」 「嘘?」 「由宇くんのこと好きよ。愛してるわ。」 「愛っ?!…、そうですか…。」
やっぱりそうだったんだ。 でもこの人も切ないな、好きな人が姉の彼氏だったなんて。
「沙保さんも好きなんでしょう?」 「でした…けど失恋しちゃいました…。もう過去ですよ…。」 「…何それ?失恋したら終わりって…。」 「だって私なんて眼中に無しですよ。あの人は今もあなたのお姉さんを見てると思う。」
「わかってるわ。それでも私は由宇くんが好き。」 「……私に言わないで下さいよ。」 「あなたも私と同じだと思ってたわ。けど、あなたは負けたの。由宇くんの思い出に。 もう気持ちが無いなら由宇くんに近づかないでよ。」 「あっ、西和さんっ……。」
よっぽどすきなんだろうね。中宗さんが。 私だって好きだったはずなんだけどね。 もう過去なのかな?…失恋したら終わりなの?…嫌。 私だって負けたくない。 えりこさんに負けたくなんかない。
「西和さん!私も好きです。中宗さんが!取らないで下さい。」 「………それを決めるのは由宇くんよ。」
負けない。 一度の失恋だって負けたくない。 創士は私の背中を押してくれてたんだ。 まだ想いはある。中宗さんが好き!
「沙保ちゃん、中宗さんが呼んでたよ?」 「中宗さんが?ありがとうございます。」
ちゃんと話したい。 あの彼女さんとは違って、私には今がある。
「中宗さん…。」 「あ、若林さん。僕の返事をちゃんと聞いてくれる?」 「はい。」 「もっと君を知りたい。…今は、これで勘弁してくれる?」 「…はいっ!」
私にもチャンスがある。 もう絶対負けたりしない。 好きです。中宗さん。 大好きです。
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