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彼の恋人になりたい 作者:七原さとみ

第3回   好きでいるくらいいいよね?
「沙保ちゃん、元気無いね。」
「…わかります?やっぱマネージャーの力はスゴイですね…。」

一昨日のことなのに、まだ傷ついてる。
要するに図星だったのかな?創士のいってるコトに間違いはないし。
幸い演技はちゃんとやってるけどね。

「若林さん、最近頑張りすぎてるんじゃないの?」
「中宗さんっ!…そんな偉いコじゃないですよ。」
「あんまり息詰めすぎないでね。僕、相談にのりますよ?」
「ありがとうございます…。」

まぁ最もあなたのコトが原因なんて言えないけど。
でも…好きでいるくらいいいよね?だってどうせ叶わないモンね。

「そうだ。明日どっか行かない?」
「へ…?」
「丁度撮影無しの日でしょ?」
「良いんですか?!」

気分上々!!中宗さんとデートの日ー!
ザマミロッ、創士。

「若林沙保!頑張ります!」
「……あの、若林さんまだ出番じゃないよ?」
「あ、すいません。スタッフさん…。」

そういえば…私に創士がいたように中宗さんは恋人とか居たのかな?
………知りたい、猛烈に知りたい。
誰か教えてー!

「あのぉ…。」
「ふぃ??どなたですか?」
「私、西和えりこと申します。由宇くん居ますか?」
「へ?」

恋人キターーーーーーー!
下の名前で呼ぶとか絶対親密なんだよ?ショッキング…。
ニシワエリコサン…。

「えりこちゃん、…久しぶり。」
「うん。久しぶり!」

眼鏡かけてて落ち着いた感じのコだけどやっぱ美人さんだなぁ。
私なんかより胸もあるし、足長いし。
けっけど、座高の高さなら負けないよ!(=短足。

「さっちゃん!」
「監督の…土方さん?」
「良いこと教えてあげる。由宇くんには昔、すっごい愛してた恋人がいたのよ。」
「愛っ?!」

やっぱそうなんだ…。
創士のバカヤロー!(←人のせいにするなよ。

「三ヶ月って短い期間だったけど、愛は相当深かったわよ。」
「三ヶ月って…私が事務所入ってからの期間。」
「別れたのかは知らないけど今でも由宇くんはそのこを相当愛してるわよ。」
「今でも…ですか?」

そんなぁ〜…ダブルショッキング…。
でも私もそこで諦めるタマじゃないし!…昔は昔。
……けど中宗さんにとっては昔のことじゃないの?
しょうがない。ココは一つ、西和えりこさんに聞いてみるベシッ

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「あの…私、若林沙保って言います。」
「どうも。…えっと今日は私に何かご用でも??」
「はい。その…西和さんって中宗さんの…。」
「?…あははっ、違うわ。」

違う?何が違う?
私はあの人を愛してなかったわ…とか?
それともあの人とはそんな関係じゃないわ…とか?
それともあの人とは付き合ってなんかないわ…とか?

「由宇くんは私の姉の恋人だったの。」
「西和さんの姉?」
「でももう二年前に亡くなってるわ。」
「え…?…それじゃぁ、あなたは中宗さんのことを好きじゃないんですか?」

10秒間の間、すごく長く感じた…。

「えぇ、好きなんかじゃないわ。」

…嘘だ。好きなんじゃん…結局。









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Novel Editor by BS CGI Rental
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