■ トップページ  ■ 目次  ■ 一覧 

彼の恋人になりたい 作者:七原さとみ

第2回   私は中宗さんを好きになっちゃダメなの?
とうとう撮影当日。
あの後、私はすぐ家へ帰って寝た。
とにかく何も考えられなかった。
中宗さんで胸がいっぱいだったから…。

さてさて、『PINKEY!』というお話は主人公・鈴村后は偶然近くのカフェで
元カノ・都筑香世が男と会っている所を目撃することから始まったお話。
更に図書館で都筑香世の妹の都筑御世と出会い、御世は后へ想いを抱き始める。
后も御世との関係を進めていくが香世のことが頭にちらつく。
結果を初めに言うと后は香世とくっつく。

「…………ん、沙保ちゃんってば!」
「は、はいっ?!」
「自己紹介、沙保ちゃんの番だよ…。」
「あ、すいません。若林沙保です、お願いします。」

って、初めから大失敗。でもね、乙女には妄想がつきものなのョ。

「じゃぁまず山手さん、スタンバイお願いします。」

私の番は5シーンとってから。
それまでは山手さんと中宗さんだけのシーン。

「沙っ保〜♪来たよン。」
「慶ちゃん!それに創士!!」
「…兄貴に連れてこられただけだから。」
「そんなコトいうなって、お前だって久々に沙保に合いたかっ…」
「うるせぇよ、兄貴は黙ってろ。」

…いつからか。
私はしばらく前まで創士と付き合ってたんだ。
でも創士はモテるから女の子からも人気で…私はそれが嫌だった。
だから創士にそう伝えた。
『私たちは無理だよ。別れよう。』って。
そしたら当然創士は怒ってそのまま…。
無理もないね、私が全部勝手なことしたから。

「『都筑って…都筑香世の妹の…』」
「『は…はい。姉のお友達の方ですか…?』」
「『まぁそんなとこかな。お姉さんは元気?』」
「『…最近元気が無いんです。よっぽど前の彼氏に未練があるのかな?』」
「『未練…?』」

「カーット!……はい、okです。」

ふぅ。終わった。今日の撮影はこれだけなんだよね。
しょうがないか、主人公と元カノの出会いのシーンだしね。

「お疲れ様、初めてなんでしょ?ドラマ。」
「中宗さん!…てか初仕事です。」
「そう?お互いに頑張ろうね。」
「はいっ!」

そうそう、付け足し。
私、昨日気付いたんだ。恋しちゃったって。
でもあくまで相手は人気俳優。私はこの気持ちをとどまらせるし!絶対。

「よぉ。随分楽しそうだな。」
「創士!」
「何?今度はあいつか…お前の相手は。」
「そんな言い方しないでよ。てか、創士に関係ないじゃんっ。」

最近の創士は大嫌い。
人に対してヒドくなったし、クラスでも怖い連中と絡んでるし。

「別に俺はまたお前のせいで俺みたいな被害受ける奴が可哀想だなって思っただけ。」
「何ソレ?私の片思いなんだからとやかく言わないで。」
「あ、そ。てか立場わきまえろよ。お前は売れない女優なんだぞ。」
「……最低、そんなの言われなくてもわかってるし!」

あぁもぉ。だから創士に会いたくなかったの。
会うと喧嘩ばっかするってわかってたから。
最悪。気分ダル…。

「どうかした?沙保ちゃん。」
「いえ…たいしたコトではないですから。」
「そぅ?あなたのシーンはもう無いし、家に帰って休んだら?体調には気を付けて。」
「ありがとうございます、山手さん…。」

私は中宗さんを好きになっちゃダメなの?
そんなの…誰が決めたの?
創士のバーーーーーーカっ!









← 前の回  次の回 → ■ 目次

Novel Editor by BS CGI Rental
Novel Collections