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沙耶の詩。 作者:音姫沙耶

第29回   大切な日。
結局、何も言わないから放っておいた。

言わない方が悪い。


沙耶は聞いた。

「さようならぁん♪♪」

金管で4年生と別れ、家に帰る。

「ただいまぁ〜」

慣れた手つきで靴を脱ぎ、部屋に行き乱暴にランドセルを置く。

「おかえり・・・。パパ帰ってきたら行くからね」

涙で目が真っ赤になっている。


そう・・・。

今日沙耶の曾じいちゃんが亡くなった。

明日はお通夜だから夜通しで行く。


曾じいちゃんは仲良くしてくれたし、お小遣いもくれた。

優しい。

でもね、病気が悪化したので病院に入院した。

「ただいま。荷物まとめた?」

「あ!おかえり。まとめたよ!」

コンビニでお菓子を買い車の中で食べているうちに寝た。


狭かったけれど安心できた。

近くに家族がいるから・・・。

「耶・・・沙耶!着いたよ」

「〜ん??何時ぃ??」

「夜中の3時。真っ暗で危なっかしいね。パパに手ひかれていきな」

「うん〜・・・」

記憶はそこまでしかない。

後は寝ながら布団についたと思う。

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