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沙耶の詩。 作者:音姫沙耶

第21回   癒えるもの。
人の傷・心・・・障害を知った沙耶。

こんなにも幼いんだ。

なのに、気づくのは「本能」なのかな??

筆箱の整理をしていると「特別」な鉛筆がころんと出てきた。

そう、椎名からもらった鉛筆だ。

9月中旬の休み時間だったかな。

『椎名筆箱見せてー』

返事の無いまま筆箱を開けた沙耶。

カワイイ3つの新しい鉛筆

『カワイイ!!椎名これ頂戴!?』

冗談で聞いたつもりだった。

『おー。おk』

貴方は普通にくれました。

あれから・・・。貴方の鉛筆は1回も決して使わなかった。

削らなかった。


宝物だったから。

あの鉛筆だけずっとピカピカに輝いています。

どんなに沙耶が傷ついてもピカピカに・・・。

「・・・大好きだよぅ、、鉛筆に、だ、けでも言うから・・・」

ぽろぽろとこぼれる涙。

そっと部屋の鍵を閉めた。

「この鉛筆で癒えたじゃん・・・。バカ・・・」

涙は止まることはなかった。

「・・・大好き。好き。好き・・・」

心の底から言えるよ。

どんなに、恵まれない恋をしたのに言える。

「でも、もうさよならなのかなぁ・・・?」

そんなの嫌だよ。

沙耶はもっと椎名のそばにいたい。


笑っていたい。

幸せでいたい。

感じていたい。

「も・・・う。恋しないって決めたのに・・・。バカ椎名!」

椎名バカだよ。

何で惚れさせたの?

沙耶のバカ。

何で惚れたの?

もう、意味がわからないよ。

生きる意味。

沙耶が生きていると言う意味。


机の中からカミソリを手にした。

カミソリを手に当て、少し血が流れ出したとき、

生きる意味???

「友達・・・。椎名・・・。」

最後にフッと笑いカミソリを手放した。

血はティッシュで適当に拭いた。

「・・・わかったよ。沙耶が生きる意味」

もう2度と傷つけない。

自分の体は一つしかないのだから。

「大好きだよぅ・・・」

そして沙耶は静かに眠りについた。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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