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沙耶の詩。 作者:音姫沙耶

第16回   心の傷。
頑張れとか言ったものの、流石に傷は癒えない。

この勉強わかんない・・・。


昔・・・。いや、先週までは幸せに聞いてたー・・・。

今はその聞く勇気も出ないよ。

「琴ちゃん。ココ何??」

いつもよりトーンの低い悲しい声だ。

いつもはトーンが普通より少し高く明るい声。

「沙耶?風邪?声低い〜。あ。ここはねぇ〜」

琴ちゃんの言ったことを聞き流した。

本当はわかってた。

だけれど、誰かと話して安心しなければならない。。

大人の世界になると薬。

薬を使って楽になろうとする。

それをただ言葉に変えただけの話だ。

「ありがとね・・・」

悲しいかすれた声は心の傷が癒えない証拠なのかもしれない。

『音姫沙耶さーん。プリント取りに来てー』

先生の言葉で我に返る。

「あ。はぁーい」

いつもなら、椎名にちょっかいをかけていくところだがスルーだ。

・・・・胸が痛いよ・・・。

ねぇ。幸せな日々を返して???

沙耶は何もしてないんだよ???

沙耶は、ただ好きな人と一緒にいるだけなんだよ???


それさえもダメなの??

帰ってくる時のちょっかいもなかった。

・・・もう・・・耐えれないよ。

この瞬間、椎名の顔が悲しそうに見えた。


ぽろぽろ溢れる涙。

とめれないよ。

「泣くな」

その言葉がただ耳をすり抜けて行く。

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