頑張れとか言ったものの、流石に傷は癒えない。
この勉強わかんない・・・。
昔・・・。いや、先週までは幸せに聞いてたー・・・。
今はその聞く勇気も出ないよ。
「琴ちゃん。ココ何??」
いつもよりトーンの低い悲しい声だ。
いつもはトーンが普通より少し高く明るい声。
「沙耶?風邪?声低い〜。あ。ここはねぇ〜」
琴ちゃんの言ったことを聞き流した。
本当はわかってた。
だけれど、誰かと話して安心しなければならない。。
大人の世界になると薬。
薬を使って楽になろうとする。
それをただ言葉に変えただけの話だ。
「ありがとね・・・」
悲しいかすれた声は心の傷が癒えない証拠なのかもしれない。
『音姫沙耶さーん。プリント取りに来てー』
先生の言葉で我に返る。
「あ。はぁーい」
いつもなら、椎名にちょっかいをかけていくところだがスルーだ。
・・・・胸が痛いよ・・・。
ねぇ。幸せな日々を返して???
沙耶は何もしてないんだよ???
沙耶は、ただ好きな人と一緒にいるだけなんだよ???
それさえもダメなの??
帰ってくる時のちょっかいもなかった。
・・・もう・・・耐えれないよ。
この瞬間、椎名の顔が悲しそうに見えた。
ぽろぽろ溢れる涙。
とめれないよ。
「泣くな」
その言葉がただ耳をすり抜けて行く。
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