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沙耶の詩。 作者:音姫沙耶

第14回   失ったもの。
それから2週間が経った。


「マジで!?椎名の好きな人2組なの?」

こんな話がクラスに広まった。

え?

明るくはいられなかった。

でもね、明るくしないといけない気がしたんだ・・・。

「えっ!誰誰??教えて〜!!ウチ馬路口堅いし!」

クラスがぎょっとした。

多分・・・。皆沙耶がまだ椎名を好きなことを知っているから・・・。

「沙・・・耶?」

驚きと不安の顔の琴ちゃんが言った。

「・・・え?どうしたの??皆まで??沙耶、変な事いった・・?」
いってたよね。
自覚してるし。
「えっと。沙耶は・・・」
啓が申し訳なさそうに言った。

「啓!!言うなって!!傷つくだろ?」
怜が止める。

ねぇ?怜も・・・知ってるの?

その日の給食時間は実に苦しかった。

向にいる愛しい人の本当の好きな人を明るく聞いたのだから・・・。

「琴ちゃ・・・」

いいかけのところで涙が出た。

「・・・沙耶・・・」

「沙耶、・・・ど・・・しよ。。」

「・・・奪うの?」

奪う?
椎名を??

「出来ないよ・・・。そんな・・・こ・と。。できない・・」

「沙耶。。きっと沙耶に手を差し伸べる人も出てくるんだから・・・」

・・・琴ちゃん。

何で・・・。

琴ちゃん涙目なの???

慰めてるのに泣いたら弱くなっちゃうと思ったの・・・?

「・・・アリガト!琴ちゃんっ!!!もうだいじょう・・・ぶ」

声が震えていた。

でもね、もう・・・。


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