調理実習も終わり、
残す2学期の大イベントは、学芸会だ。
「今年音楽とか最悪〜」
「一番最初じゃん!」
「やりたくねぇ〜」
反感の言葉が舞う中、練習は始まった。
音楽の練習は予想以上に大変だった。
全校合唱練習中に倒れる子もいた。
「もう嫌だ」
と思った・・・。
けれど、椎名がいたから学校に来るのが楽しかったし・・・。
恋ってすごいな。
「椎名筆箱見せてー」
軽い、黒の筆箱の中にはカワイイ鉛筆が3本はいっていた。
「カワイイ!!椎名これ頂戴!?」
「おー。おk」
冗談で言ったつもりなんだケド・・・?
「え!?本当?いいの??いいの??」
「あげねーぞ!」
「ダメダメダメ〜!!もらう!!」
三本のまだ真新しい鉛筆。
なんとなく、椎名の香りがした。
「カワイイ♪桃香から??」
桃香とは、椎名の妹。今小3。
「ん〜。ちげーよー」
「ま!いいや♪♪アリガトねっ☆☆☆」
お礼を言い筆箱に大事に入れた。
最高の宝物だ。
とってもキラキラしてる。
その鉛筆は決して使わなかった。
鉛筆の芯が尖っていなくても。
決して使わなかった。
「この鉛筆使ってねーの?」
「だってカワイイじゃん〜♪」
「ふうん?変なバカだな!」
「バカじゃないって!!究極のドアホ!風邪も引くしね♪」
「ドアホ!」
こんなバカみたいな会話も宝物だからね?
この会話と鉛筆。
それから貴方。
全てが沙耶の元気の素だよ。
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