■ トップページ  ■ 目次  ■ 一覧 

沙耶の詩。 作者:音姫沙耶

第10回   元気の素。
調理実習も終わり、

残す2学期の大イベントは、学芸会だ。

「今年音楽とか最悪〜」

「一番最初じゃん!」

「やりたくねぇ〜」

反感の言葉が舞う中、練習は始まった。

音楽の練習は予想以上に大変だった。

全校合唱練習中に倒れる子もいた。

「もう嫌だ」

と思った・・・。

けれど、椎名がいたから学校に来るのが楽しかったし・・・。


恋ってすごいな。

「椎名筆箱見せてー」

軽い、黒の筆箱の中にはカワイイ鉛筆が3本はいっていた。

「カワイイ!!椎名これ頂戴!?」

「おー。おk」

冗談で言ったつもりなんだケド・・・?

「え!?本当?いいの??いいの??」

「あげねーぞ!」

「ダメダメダメ〜!!もらう!!」

三本のまだ真新しい鉛筆。

なんとなく、椎名の香りがした。

「カワイイ♪桃香から??」

桃香とは、椎名の妹。今小3。

「ん〜。ちげーよー」

「ま!いいや♪♪アリガトねっ☆☆☆」

お礼を言い筆箱に大事に入れた。

最高の宝物だ。


とってもキラキラしてる。

その鉛筆は決して使わなかった。

鉛筆の芯が尖っていなくても。

決して使わなかった。

「この鉛筆使ってねーの?」

「だってカワイイじゃん〜♪」

「ふうん?変なバカだな!」

「バカじゃないって!!究極のドアホ!風邪も引くしね♪」

「ドアホ!」

こんなバカみたいな会話も宝物だからね?

この会話と鉛筆。

それから貴方。

全てが沙耶の元気の素だよ。

← 前の回  次の回 → ■ 目次

Novel Editor by BS CGI Rental
Novel Collections