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乙女色 〜心の詩〜 作者:音姫沙耶

第32回   戻る道。
寮に何日もいないし学校にも行かないので学校側が親に連絡でばれた。


「戻れ」理由は何?????

理由は何なの・・・。

「あたし・・・。戻んないから」

「沙耶!お母さんは沙耶のことを・・・」

ブチ。

嫌だ。

もう会いたくない。

行きたくない。

この夜も元気なこの東京で過ごして運命の人を見つけるんだ。


固く決心した。


固く・・・固く。



1ヶ月が経った。

新聞でいつも見る記事。

「聖桜学園高等部生徒会長音姫沙耶さん(17)姿消す!!!」

姿を消して何が悪い。

学校長の話だってまともな訳がない。

この記事が出た限り戻れないんだ。

また、琴ちゃんや夏帆と話すことは出来ない。


プルルルル♪

着メロは適当に流行っている曲にした。

見たことある・・・けど。

忘れてしまった番号。

「もしも〜し」

フツー通りに出た。

「お前さ、勝手だな。」

椎名だ。
椎名だ。

「椎名?」

「俺の話聞けよ!」

冷たい声。
決してそんな声は出さなかった。


もう・・・。

戻れないんだね。

「ごめん。あのメールさ・・・」

「今何処だよ・・・。会いてぇ・・・・。」

会いたい?

「何で・・・。会いたいの?」

「好きだから。」

何で?

別れたいって言ってあたしを追って事故にあってしまいには別れたくない。

そんな勝手なあたしをもう一度受け入れてくれるの???

「椎名・・・」

「どうした?」

いつもの暖かい声だ。

「ごめんね・・・・。」

「いいから!な?今何処だ?」

「東京・・・東京だよ」

涙を流した。

この涙はうれし涙?

きっと・・・。

あの番号は一生忘れることはないよ。

椎名があたしを求めて

あたしが椎名を求める限り。


大好き。

大好き。

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