血は耐えなく流れ、
人は騒ぎ、
本人は眠り、
この世界はなんて残酷なのだろう。
人が死んでいれば、「かわいそう」
かわいそう?
何が?
自殺って言う贅沢な事をしていても?
かわいそうじゃない。
頑張ったって言うべきじゃないの?
答えはないの?
もうだめだ。
終わりね。
目の前には見慣れない天井。
生きてたの?
かみそりで傷をつけた左手にはガーゼ。
起き上がると看護師さんが居た。
「良かったね!生きてた!奇跡的だって。」
生きてたから?
あまり喜べない。
ただ、自立を出来ると言う喜びだけがわかった。
聞いてしまった。
「椎名は?生きていますか?」
看護師さんは笑って、「生きていますよ!」
嬉しいわけじゃないのにホッとした。
諦める。
諦める。
自立
自立
その文字をただ、無限に頭の中で繰り返す。
そのことで椎名を忘れそうだから。
いっそのこと、記憶喪失になればよかった。
全ての思い出をかき消せるのだから。
病院を退院すると琴ちゃんが居た。
「退院おめでと!学園にもどろ?」
もどろ?
なんで?
手紙の内容知っているでしょう?
「さようなら。」
笑顔で手を振りまた、がむしゃらに走り出した。
どんっ。
ぶつかった。
「すいません」
棒読みの言葉を発するとまた走ろうとした。
腕・・・。腕をつかまれた。
この顔・・・。
椎名だ。
「帰るぞ!!」
「嫌。帰らない」
頑張るの。
“自立”を成し遂げるの。
さようならをするの。
「さようならをするの。だからよ」
椎名の力はこの言葉によってなくなった。
そのすきを見て走った。
ついた先は東京。
北海道とは大違いだ。
これから。
これからここで暮らす。
帰りはしない。
そう決めた
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