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乙女色 〜心の詩〜 作者:音姫沙耶

第28回   愛。
後ろからの聞きなれた足音。


会うわけがない。


会いたいわけがない。

なのに・・・。


後ろを振り向いてしまった。


汗だくの椎名。

「何で・・・。紙あったじゃん」

涙目で答える沙耶。

「何で・・・。あんな紙書いたんだよ」

地面に視線を向け、

喋ったら戻ってしまう。


そう心が答えた。


走った。

ただ、前を見ず。

がむしゃらに走った。

息切れをする暇なく走った。


もう限界か。と目の前を向けると、まぶしい光があった。

それは、


トラック。


逃げる暇もなかった。


目の前の現実が受け居られず固まったままだ。

痛い?

痛い感触なんてない。

椎名?

椎名だ。


傷だらけじゃん。

さようなら



さようなら

って手紙を書いたのに。


かみそりを取り出し手に傷をつけた。

痛いなんかじゃない。

嬉しいよ????


だって椎名と一緒に死ねるのでしょう?


この世界と君にさようなら。


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