後ろからの聞きなれた足音。
会うわけがない。
会いたいわけがない。
なのに・・・。
後ろを振り向いてしまった。
汗だくの椎名。
「何で・・・。紙あったじゃん」
涙目で答える沙耶。
「何で・・・。あんな紙書いたんだよ」
地面に視線を向け、
喋ったら戻ってしまう。
そう心が答えた。
走った。
ただ、前を見ず。
がむしゃらに走った。
息切れをする暇なく走った。
もう限界か。と目の前を向けると、まぶしい光があった。
それは、
トラック。
逃げる暇もなかった。
目の前の現実が受け居られず固まったままだ。
痛い?
痛い感触なんてない。
椎名?
椎名だ。
傷だらけじゃん。
さようなら
さようなら
って手紙を書いたのに。
かみそりを取り出し手に傷をつけた。
痛いなんかじゃない。
嬉しいよ????
だって椎名と一緒に死ねるのでしょう?
この世界と君にさようなら。
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