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先生との恋 作者:kei

第9回   9.電話
9.電話

私は電話が嫌い。
だから、携帯も持ってない。
顔を見ずに話すのって
思ってもないことまで言いそうな気がする。

今は午後8時。
先生は家に帰ってるのかな。
携帯の電話番号だから、気にしなくていいだろうけど。

自分の部屋に家の電話の子機を持ち込んで
電話をかけようか悩み中。

今の時間はいつも宿題をしたりしているから
お母さんが部屋に入ってくることはない。
お風呂に入ってるみたいだし。

思い切ってかけよう、かけなきゃまた
先生が困ったことを言い出すかもしれない。

ボタンを押す指が震えるけど
何とか、かけられた。
コールが1回なった瞬間につながった。

『もしもし』
「速水先生ですか?扇原です」
『みなちゃん!コレって、家の電話でかけてる?』
「はい」
『携帯の番号がわかると期待してたのに』
「私、携帯持ってないんです」
『へえ、いまどき珍しいね』
「そうですね。でも、電話って苦手だし、必要性を感じていないので」
『あ、電話代かかるから、かけなおすよ。ちょっと待って』
そういって、先生は電話を切ってすぐにかけなおしてくれた。


電話で話すのは苦手だといったわりに、
先生からの質問攻撃を受けて話している内に
40分くらいたっていた。
学校のこと、家族のこと、進学のこと
誰かに自分のことをこんなにたくさん話したのは
初めてのことだった。
先生は、聞くばかりでなく、自分のこともいろいろと話してくれた。

『ごめん、みなちゃん受験生なのに、いっぱい話して』
「いえ、なんだか楽しかったです。受話器を持つのに、手は疲れちゃったけど」
『そうだねー。じゃ、また明日』
「明日って、私は学校に行きませんけど」
『エー、来てくれよー。今日は中野先生のせいで二人きりになれなかったんだからさあ』
「どうしよう」私は、思ったことがつい、口に出ていた。
『学校で、勉強したら?』
「そうですね、英語のわからないところも、教えてもらえますか?」
『がんばってみるよ!みなちゃんのためなら。明日は、午前中部活があるから、昼からおいで』
「わかりました。先生、おやすみなさい」
『うわー!みなちゃんにおやすみって言ってもらえるって、幸せだ〜』

結局、電話を切るまでにも時間がかかって1時間先生と話してた。

私の学校は7時間授業で、土日休みだから
普段、土曜日に学校へ行くことはないけど
運動部の人は来てるんだなぁ。

お母さんには、学校で教えてもらいに行くって言えばいいかな。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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