■ トップページ  ■ 目次  ■ 一覧 

先生との恋 作者:kei

第6回   6.予約
6.予約

図書室には、本を予約したり、本の場所を探したりするためのパソコンがある。
パソコンが苦手な人のためには、予約カードがあり、それは手書き。
本を探すのは図書委員が手伝う。

水曜日の放課後
いつものように先生はやってきた。
「予約したいんだけど」
「では、パソコンで入力してください」
私はそっけなく、パソコンのほうを指差した。
「パソコン扱うの苦手なんだよ」
うそばっかり言うなあ、先生。
図書委員全員が思ったけど、誰も口にしなかった。

「では、この用紙に予約したい本の題名、わかれば作者名、出版社名などを書いてください」
そういって、用紙を渡した。

先生は、自分ボールペンを一度ポケットから出して、また閉まった。
「書くもの貸して」
「今、持ってたじゃないですか」
「いや、あれは書けなくなったから」
私は仕方なく、自分の持っていたウサギのキャラクターのついたシャーペンを渡した。
先生は、とてもきれいな字で自分の名前などを書いていた。

「はい、これ」
といって、予約カードを渡してくれた。
しかし、シャーペンは自分のポケットへ。
「先生、シャーペン返してください」
「ああ、そうか。じゃ、これ」
そうして、私のシャーペンではなく、銀色の自分のペンを渡してきた。
「これじゃないでしょ」
「コレでいいじゃないか。こっちのほうがさっきの10倍はするから」
と押し付けてくる。
確かにそのペンは、入学祝なんかでもらいそうな高そうなペンだった。
先生は、強引なところがあるから、あきらめて受け取った。

カードを見ると
本の題名に『3年2組扇原みな』と書いてある。
「こんな題名の本はありません」
「そうだった?じゃあ」
とカードをまた持って、何か書いて渡してきた。
『携帯の番号とメールアドレスを教えて』
「却下します」とカードをつき返した。
するとまた書き込んで、渡された。
『今日、一緒に帰ろうよ』

「そんなことはできません」
私も意地になって、カードを返した。

← 前の回  次の回 → ■ 目次

Novel Editor by BS CGI Rental
Novel Collections