44.やっと会えたけど
兄を探しに職員室へきたけど、いないので電話をしてみると 「駐車場で待ってるから」と言われた。
校舎の裏にある駐車場まで行くと、上の兄の車の側で兄二人と、もう一人男の人の背中が見えた。 ラグビー部の知り合いかな? そう思って近づいてみると、速水先生だった。
やばすぎる… 先生だって、ばれちゃってるんだろうか?
「みー! やっと来たか」兄が私に気づいて手を上げた。 先生も振り向いて、一瞬こっちを見たけど、冷血王子の顔をしている。 やっぱり、先生は私を好きじゃなくなったのかも…
足が止まってしまう。
「速水さん、ここで話すのはまずいでしょうから、とりあえず今は妹を連れて帰ります」 「わかりました。後ほどお宅へ伺います」
兄と先生はそう話をして私は兄の車に乗せられた。
「どういうこと?」 上の兄は運転しているので、下の兄に聞いた。 「内緒…」下の兄はふざけるようにして言う。 「ちゃんと言ってよ!」 「速水さんがうちに来てから、彼に聞きなさい」上の兄が怒ったように言った。
家へつくまでに先生からメールが届いた。
{机にあった手紙、読んだよ。あとで家に行くから、話しはその時に}
先生まで、そんなこと書いてる。久しぶりの先生からのメール。すごくうれしかった。
家についてから、下の兄に先生が私の高校の先生だというのを知っていたと聞いた。 お正月に上の兄と話したらしい。 私は卒業式の間、ビクビクしてたのにみんなは知っていただなんて。 しかも、私がいないところで家族会議?が行われ、速水先生のことを見守ろうと決まったそうだ。
「先生を見守るって?」 「速水君はさ、家族もいないわけだし、みーのことを本当に大切にしてくれそうだから」 「先生の家族がいないって、どうして知ってるの?」 「速水君のお父さん、お兄ちゃんの大学の教授だったんだよ」 ここで、下のお兄ちゃんが言う、お兄ちゃんとは上のお兄ちゃんのこと。
「そうだったんだ。どうしてみんな、私に隠してるの?」 「隠すつもりじゃないけど、速水君がみーに直接、言ったほうがいいだろ」 そりゃそうかもね。 先生だって、私からそういうこと聞かれるのいやかもしれない。
高校生のとき、先生は下の兄の1歳年下だから、高校で会ってたかもしれないけど あんな男前、見たことないなぁなんて言ってた。
下の兄は、先生が来るまで私を一人にしないようにしてくれたみたい。 ずっと話してくれていた。
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