42.行動あるのみ
お兄ちゃんたちの圧力が効かなくなったのか、どうかわからないけど、卒業式までの1週間、いろんな人に写真を撮られた。 だんだん、面倒な気持ちになってきて教室にいるのがいやになってきた。
私は先生を探しに職員室や、数学準備室に行ったけど、他の子と話をしていたり、忙しそうだったりして話が出来なかった。 今日も、話せなかった。 落ち込んだ気持ちで廊下を歩いていると、向井君から声をかけられた。 「扇原」 「あぁ、向井君。どうしたの?」 「また、元気ないな」 「そうかな。そうかも。」 「何だよ、それ」
「なんだか、思い通りにならなくて」 そう、今の私は自分の思い通りに行かないことに落ち込んでる。 「なんか手伝えることある?」 向井君、優しいなぁ。 「ありがとう。でも、自分でがんばらなきゃいけないことだから」 「そっか」
向井君と気まずくなると思っていたのに、こうして普通に接してくれるというのはありがたい。 前みたいにとはいかなくても、話を出来るのはうれしい。
「そうだ、俺と写真とってよ」 向井君はそう言って、近くを歩いていた友だちに携帯を渡し「写真とって」と頼んでいる。 身長差があるので、向井君はかがむような形になって私の肩を持った。
写真を撮ったあとに 「扇原、行動あるのみ」と言って、向井君はいつものように私の頭を撫でていった。
『行動あるのみ』か… そうだよね。うじうじしてないで、先生にぶつかっていかなきゃ。
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