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先生との恋 作者:kei

第21回   21.図書館
21.図書館

「先生、本当に頭が痛いです」
私は、素直な気持ちで言った。

『え? そんなにみーのこと困らせた? ごめん。調子に乗りすぎた』
先生は、ワガママ王子じゃなくなったようだ。

なんだか、先生の操縦方法がわかってきたような気がする。
でも、ちょっとかわいそうな気もする。
かわいそう? 私のほうが迷惑かけられて
かわいそうなんじゃないの?

でも、先生がなんだか寂しそうで。
お誕生日、一緒にお祝いしてあげたほうが良かったかな。

「先生、デートは出来ないけど、何か先生が元気になる方法考えてみます」
元気のないのは私の方なのに、なぜかそんなことを言ってしまった。

『みーはホントにやさしいね。運命の女性はやっぱり理想の女性なんだなぁ』
先生から、運命って言葉が出ると、困ってしまう。
先生の思い込みの強さに押し切られそうで。

『じゃ、中央図書館に来てくれるかな?』
「え?」
『図書館であったとして、誰かに見られても言い訳は出来るから』

先生は、どうしても私に会いたいみたい。
家にいるより、図書館で勉強したほうが効率がいいかも
そう思って、私は先生と待ち合わせの約束をした。



先生は、遺跡に関する本の棚の近くにいるからと言っていた。
中央図書館には時々来るけど、そういった本の棚がどこにあるのかわからなくて
司書の人に聞いてからそこへ向かった。
背の高い人がちらりと見えた。
先生は、最初に会ったときのようにジーンズ姿で大学生みたいに見えた。

「こんにちは」
「やあ、偶然だね」
「先生、わざとらしい…」

小さい声でコソコソと先生と話していると、ホントにいけないことをしている気がする。

「遺跡の本って、歴史が好きなんですか?」
「興味があるってくらいかな。父親がそういった研究をしていたから」
「先生のお父さんも、先生だったの?」
「うん、高校じゃなく、大学で教えてた」
「すごいですね」
「そうかなぁ。先生なんて、すごい職業でもないよ。オタクみたいなもんじゃない?」

「先生はお父さんと同じ勉強しようとは思わなかったの?」
「うん、小さいころから数字が好きだったから。数字オタクなの」
先生はふざけて言った。

しばらく話をして、
私は自習室で勉強することにした。
先生は、読みたい本を探してから自習室へ行くからといって別れた。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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