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先生との恋 作者:kei

第20回   20.朝から電話
20.朝から電話

向井君と駅前でケーキを食べた。
結局、ご馳走するといっても聞いてくれなくてワリカンになった。


夜になって、速水先生に電話した。
「向井君も、今日が誕生日だったんですよ」
『へぇ。それで?』
先生は、なんだか怒っているみたいだった。

最初は、ケーキおいしかったよとか、楽しそうに話していたのに、
私が向井君のことを話しだすと、機嫌が悪くなった。

『だから、一緒に帰ってたんだ?』
「だからって、訳じゃないですけど、一緒に帰ろうって言われて断る理由もないから」
先生から、嫌味みたいに言われて、カチンときた。

それから、なんとなく険悪のまま電話を切った。
私は、勉強をしても集中できないし、眠ろうと思っても
なかなか寝付けなかった。


次の日の朝、私は眠れなかったせいか寝坊した。
学校も休みだからと思って9時くらいまでベッドでごろごろしていた。

「みー、電話よ。速水さんって男の人」
お母さんが、部屋に入ってきて、電話の子機を渡した。
何か言いたそうな顔をしているけど
私は、お母さんを部屋から追い出して電話に出た。
あ、保留ボタンも押してない。

「おはようございます」
『おはよう、みー』
先生は、お母さんの真似をして私を呼んだ。
「先生から電話をかけてくるのって、初めてですね」
私は、みーと呼ばれたことは無視して話をした。
『みなちゃん、家族からは、みーって呼ばれてるの?』
先生も私の話を聴かずに言いたいこと言ってる。
「はい」
なんだか、みーって家族以外から言われると猫みたいだと思う。

『猫みたいで、みなちゃんにぴったりだよね。俺もこれからみーって呼ぼうっと』
「いやです」
『なんでだよう。俺とみーの仲じゃないか』
「先生と私の仲って、何もありません」
『朝から冷たいなぁ』

「そうだ! 先生、朝から何の用なんですか?」
『あ、そうそう、この前言ってたけど、デートしよう!』
「だから、それは無理です」
『無理じゃないって。みーがうちに来てよ』
「何を言ってるんですか!」
『駄目かな?』
先生は、ワガママ王子に変身した…
いつも、コレに巻き込まれて困ったことになるので
ここは強固な意志で断らないと、大変なことになると思った。

先生はいつの間にか、みーって普通に呼んでるよ。

『みー聞いてる?』
「考え中なので、黙っていてください」
『そうか、やっと前向きになってきたな』
「違います。どうやってお断りしようかと考えているんです」
『後ろ向きかぁ』
先生に、黙っていてと言ったのに、一人でしゃべっていた。

『みーってすぐに一人の世界に入るよね』
『早く、みーの顔見たいなぁ』

こうなったら、仮病を使おう。
子どもみたいな考えしか浮かばない自分が情けないけれど
先生は、私よりずっと賢くて、私が断ろうとしても何とかして
自分の意見を通してくる。
病気なら、先生もあきらめるに違いない。

「先生、実は昨日の夜から熱っぽいので、今日は出かけられません」
『そうか、みーは仮病を使うことにしたんだ』
んぐっ。すぐにバレた。
しかし、ここは強固な意志を貫こう。

「頭も痛いんです」
『へぇ。じゃ、お見舞いに行くよ』
「え、ええっ!困ります。風邪をうつしたら駄目だから。それに担任でもない先生がうちに来たら、家族になんて言うんですか?」
『みーと将来を誓い合った者ですって言えばいいじゃん』

本当に頭が痛くなってきた。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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