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なぜあなたを選んだのだろう 作者:

最終回   1
 私はあなたを受け入れられなかった。
 あなたの気持ちを素直に受け止められなかった。
 今はそれを悔やんでいる…。

「好きだよ」
 素直に気持ちを伝えるあなたに対して私は“好き”とは言えなかった.

 彼には以前、情を交わした女友達がいた。私も知っている人でとても素敵な女性だった。傍から見ていても恋人同士のように見えるほど仲が良かった.関係を持っていたと知ったのはずっと後になってからだが、今も変わらず友情が続いていることに納得出来ないでいる.その女性が軽い気持ちで関係を持てる様な性格ではないからだ。

「しつこいよ」
 少しずつ気持ちが遠ざかるのが分かった.彼女との関係を知ってからあなたに対して嫌な言葉が繰り返される.始めは我慢をしてくれていたのだろう.

“アドレスを消して”
“名前で呼ばないで”
 あなたは私に優しかった.けれど彼女に対しても優しかった。彼女のことを『大切な人』、そう思う気持ちに私が耐えられなくなっていった.そして、いつまでも続く私の嫉妬心にあなたは耐えられなくなり、次第に苛立ちを見せ始めた。

「俺では駄目なのかも知れないね」
 そんな言葉に一人になる悲しさが一気にこみ上げた.これで本当にさよなら…。あなたは精一杯、私のそばにいてくれようとした。それを拒んだのは私自身だ.すがればあなたは再びそばにいてくれるかも知れない.けれどそれでは何も変わらない。私は同じことを繰り返すだろう。

「一緒にいたい気持ちだけでは駄目なのかな…」
 沢山の涙があふれた。あなたに強く抱きしめられたかった.
 一緒に居たい…
 離れたくない…
 彼女との仲を知っている。私は一時の気の迷いのようなもの。

“私にはあなたを幸せに出来ない”
 あなたとの未来を沢山、考えてきた.一緒にやりたいこともあった。なぜ、一緒に居るほど不安が増していくのか分からない.出会った頃は沢山、笑っていた気がする。挨拶を交わすだけで嬉しくなっていた。その頃の気持ちをどこに置いてきたのだろう。今の私はただ、わがままになっている。

 泣いて泣いてあなたに告げた。さよならではなく…
“また笑って話せる時が来ますように”

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Novel Editor by BS CGI Rental
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