金髪に染めて悪ぃかよ。
酒飲んで悪ぃかよ。
煙草吸って悪ぃかよ。
無免で原チャリ乗って悪ぃかよ。
俺には仲間がいるんだよ。
俺は自由なんだよ。
なのに…
「煙草吸ってかっこいいとでも思ってんの?」
おまえはいつもそう。
母親面で、全てを否定する。
「あ?てめぇに関係ねぇだろ、マジぶっ殺すよ?」
「汚い言葉遣い、やめたら?言われたくないんなら堂々と外で吸わないでよね」
「…おまえは母ちゃんか」
流石にいつもの事で溜息が出る。
こいつとは小学一年生の時から現在中学三年までずっと同じクラスだ。
だからかこいつは俺がどんなに脅しても俺のことを全く恐がんなくて、むしろ毎日話し掛けてくる。
はっきり言って近くにいて欲しくない。
「あたしのこと、嫌いなんでしょ。うせろよって顔が言ってるもんね」
「…さぁね」
これからここの公園で初めての集会があるんだよ。
そんなこというとこいつは絶対集会に出るなとか言うんだ。
「じゃ、もう帰るね」
なんであいつがここの公園に来たかはよくわからなかったけど、帰ると聞いて安心した。
あいつが帰ったあとに、なんだか急に少し悲しくなって、イライラした。
おまえの言う通りだよ。
てめぇなんかずっと昔から嫌いだったんだよ。
俺のこと全部知ってるような顔でいるのが最高にムカツク。
これで満足かよ。
本当の気持ちなんかまるでわかってねぇじゃんかよ。
…そう思った。
本当は、ずっと昔からあいつのことが好きだった。
でも側にいて欲しくない。
ダメな俺を見て欲しくない。
おれなんかただのガキだ。
ただ素直になれないだけの、ガキ。
集会が始まってから何分かたった後、気分が乗らなくなったからそのまま原チャリで帰ることにした。
何もかもが馬鹿らしく感じた。
エンジン音が夜の町に響いた。
家に着く少し前、遠方に人影があるのがわかった。
玄関にあいつがいたのだ。
原チャリを停めて、そばに近寄った。
「…何してんの?」
なるべく普通に接しようと努力したけど、驚きが隠せなかった。
「本当は集会であそこにいたってこと、知っててわざとあの公園に行ったんだよね」
すまし顔であいつが言った。
「何で?」
「あんたに、そういうことして欲しくなかったから」
あいつは俺の服を掴んで言った。
「離れていかないで」
泣きそうな顔だった。
「馬鹿じゃねぇの、おまえ」
同じ気持ちだったなら初めから言えよ。
俺はつられて泣きそうになってしまったので、誤魔化す為にフッと鼻で笑ったけどやっぱ情けな い顔になってしまった。
抱きしめて、囁いた。
「もう絶対に離れねぇ」
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