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僕のクラスメイト―赤ふちメガネの女― 作者:花火かよこ

最終回   僕のクラスメイト―赤ふちメガネの女―
僕のクラスの赤ふちメガネのあの女。

前髪は横分け、ロングストレートの茶髪。

出来る女に見えて意外と勉強は出来ないみたいで、テストが返ってきたときは青い顔して叫んでた。

そんな彼女だけど、本当に赤ふちのメガネがよく似合うんだ。

なんか美人秘書って感じでさ。

性格は明るいみたいでよく同じクラスの女子数人と休み時間に笑い合ってる。

でも一人の時や授業中の時とかさ、すごい独特なオーラ出てるって感じでいかにもいい女って感じなんだよね。















こんなに彼女のことを語ってるけど、実は一度も話したこともない。

あこがれてはしゃいでいるだけなんて、カッコ悪すぎる。

だって話し掛けられねぇよなぁ。

とてもじゃないけど無理。

だってクラスの男子みんな彼女を狙ってる。

みんな一言もそんなこと言わないけどわかるんだ。

だって授業中みんなの目は黒板ではなく彼女に釘付け。

なんてワンパターンな奴らなんだ・・・って、その中に僕も入ってるんだけどね。
















帰りのHRの時、いつものように騒ぎ立てるクラスメイトに対抗し、声を張り上げながら担任が言った。

「今日数学の強制補習がありまーす!これから呼ばれるものは残るように!」

そのあとすぐに僕の名前が呼ばれて、肩を落とした。

まぁ、当然と言えば当然だな。

自慢じゃないけど今日の小テストは5点だったしね。

でもその直後、僕は少しビックリしたあと、5点を取った自分に感謝した。

彼女の名前が呼ばれたのだ。

彼女は女子数人に「うわぁ、がんばれ!」なんてからかわれて「もー最悪・・・」って呟いてた。

呼ばれたのは僕ら二人だけだった。















掃除が終わり、教室には僕と彼女と担任だけが残った。

「プリント終わったら帰っていいぞ。わからないことがあれば先生に聞きなさい。あ、でも先生急に会議が入っちゃったんだ。すぐ戻って来るからその間に帰ったら明日は倍の量だからな」








手渡されたプリントに無言で書き込む僕たち・・・と言いたいところだが、一向にペン先は動かない。

それに喋った事もないのに二人きりなんて、結構気まずいかも。









そんなこと考えてたら彼女が僕に話し掛けてきた。

「ねぇ、問1わかる?」

「や、わかんない」

僕はもちろん即答だ。

彼女は、やっぱり?と言いながらクスクスと笑った。







「そういえば話すの初めてだよね。数学苦手なの?」

彼女が微笑しながら僕に言った。

「自慢じゃないけど今日の小テスト、5点」

「勝った!あたし0点」

僕は負けた、と言いながら大声で笑った。

彼女も僕と一緒に大声で笑った。








「あたしいつもみんなに言われるの。見た目は頭良さそうなのに本当馬鹿だよねあんたは、なんちゃってさ」

彼女は少し頬を膨らませた。

「でも本当意外だったよ、悪い意味じゃないけど」

「やっぱメガネかけてるとそう見えちゃうよね、もう外そっかなぁ・・・」

「外すって・・・コンタクトにすんの?」

「ううん、このメガネ伊達なの」

「そうなの!?なんで伊達メガネしてんの?」

僕の質問に、急に顔を赤らめて彼女は言った。






「好きな人がね、メガネ掛けてるの。だからマネ」

僕は軽くショック受けたのを隠しつつ、そうなんだ、と微笑んだ。

だって僕メガネしてないし。






「それにメガネしてるとレンズに睫毛が当たるから邪魔なの」

そう言って彼女はメガネを外した。

予想通りの美少女だ。

「睫毛長いんだね」

僕がそう言うと彼女は笑った。

「マスカラで頑張って伸ばしてるからだよ!」








君が見せる白い歯とえくぼは最高だ。

僕は君のメガネを掛けた顔も好きだけど、外した素顔も好きだな、なんてキザったらしいこと言いそうになったけどそんな自分が気持ち悪くなってやめた。

「好きな人、頑張ってね」

僕は代わりにそう言った。

「ありがとう」











でも、やっぱり素顔でいても彼女からはオーラが出てる。

メガネしてる時と違うオーラがね。

だから僕、好きになっちゃったかも。














そんなこと考えてたら担任が戻ってきて僕たち二人を怒鳴った。

「二人とも名前しか書いてないじゃないか!!」

だって先生。

僕たち今恋の問題を解いてる最中なんですよ。

それも難問なんです。










なんて言えたらね。

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Novel Editor