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王女パヨピヨ愉快な仲間達 GROW UP〜王家の指輪〜  作者:桜田霞

第4回   初☆モンスター狩り!
次の日の朝。いよいよバイトの日だ。ハンドは宿屋で待ってるらしい。もちろんシャドルも一緒には行かない。あたし独りだけ、ちょっと心細いけど、頑張ろう!
宿屋にダールさん達が迎えに来てくれた。そのままあたし達は、一つの古い小屋みたいな所に行った。
「うわ。汚い所…」
思わず口を滑らしちゃった…。
でもすごい悪臭。動物の独特の匂いがプンプンと匂ってくる。
あたしは鼻を抑えながら、奥へと進む。
すると、長く白いひげにやさしそうな笑顔を持ったおじいさんが、奥から出てきた。
「おい! 親父! パロンを一匹借りるぜ」
と、ダールさんが大声で叫ぶ。
その行動にビクビクするあたし。この人はなんていうかパヨリンが嫌いそうなタイプかな。でも悪い人ではなさそうだなぁー。
「おぉ。やっと来たか。お前さんがくるような予感はしとったよ」
おじいさんがほっほっほといって笑う。
「パロンって何?」
あたしがダールさんに聞くと、隣にいたサムワさんがポケットから本を出す。
「これだ」
サムワさんが静かに本を開け、そこのページを見せる。
「パロン。大人しいモンスターで、人がよく乗り物などに使う。力が強く、馬車の代わりとして使われるのが多い…羊のような毛を持ち、頭に角があり、雄は尖っている。雌は一回半転くらい曲がっている…か」
モンスターでも凶暴じゃないやつもいるんだな。全部凶暴なやつかと思ってた。たぶんお城で勉強したんだと思うんだけど…。
「あ。そうそう。この本ってどこかで買ったやつなんですか?」
あたしが聞くと、サムワさんはこう言う。
「いや。これは自分で作った」
「え? どうやって?」
「今まで見てきたモンスターを、この本に書きとめてるんだ」
ハンターの人は、こうやってやってるんだ。なんか感心するなぁ。
一匹のパロンと荷台を繋ぎ止めると、あたし達は、荷台に乗り込んだ。パロンを操作する役は、さっきのおじいちゃんだ。結構な年なのに…まだまだ現役じゃぞと言って笑うおじいちゃん。おじいちゃんは狩場の手前で、あたし達を降ろしてくれた。そこでお別れなのだ。
よし。さっそく出陣だ!

行きの荷台の中で色々教えられたのをもう一度思い出す。
まずサムワさんたちが、モンスターを倒したら、といっても、殺しはしない。売るらしいから。それを、あたしがこの大きな網に入れる。そのとき、モンスターに襲われないようにといわれた。
それと、モンスターの巣窟に行くので、あたしも武器所持で、自分の身は自分で守らなければいけない。でもあたし武器使ったことないんだよな。一応脅しのためにはもっておけっていわれたけど、なんか無理そう。
荷台から降りると、さっそくサムワさんたちは、武器を取り出した。
熱い日差しの中、あたしは岩場に隠れながら、ずっとモンスターが来るのを待っていた。
今日は砂漠地帯で狩りだ。町から西にある位置。町からどのくらいかかったんだろう。う〜ん。ざっと四時間くらいかな? 馬車の中でずっと座っていたせいもあって、お尻が痛いよ。
それにしても暑すぎる。周りの風景が、ゆがんで見えるよ〜。ぎらぎらと光る太陽が、まぶしすぎる。
手を額にかざし、太陽を見ていると、ふと黒い影が目に映る。
「何!?」
あたしはおどおどしながらも、ダールさんから貸してもらったボウガンをしっかりと持った。
「おい! 嬢ちゃん隠れとけ」
ダールさんの怒鳴り声が、ここまで響いた。
岩場に隠れようと、急いで戻ると、血走った目つきで、頭に大きなアンテナみたいなのが立っている、体長五メートルほど、紫の大きな翼を持ったモンスターが目の前に立っている。
勘弁してよぉー。
「ひぃい」
あたしはその場にしりもちをついた。
その血走った目がこっちをじっと凝視してる。
モンスターの体が一瞬揺らいだと思ったら、それと同時にどすっと鈍い音がした。見ると、モンスターの翼に弓矢が刺さっており、そこの先から一筋の血が滴っていた。
「ぎぃいいいい」
モンスターは痛そうにもがいた。
「きゃああああ」
 あたしは目を瞑ってその場に座り込む。
「嬢ちゃん。こっち来い」
 ダールさんの声と太い腕が、あたしを掴んだ。
「モンスター痛そうだよ。やめてあげて。お願い」
 あたしが涙を流しながら、ダールさんに抱きついた。
「おいおい。落ち着け。ちゃんと話を聞け。モンスターの狩りを始めて見たのか?」
「傷つけないであげてお願い」
 モンスターだって痛いものは痛いんだもん。こんなことしたら、モンスターでも人間でも痛いよ。
 すると、モンスターはどさっと力なく地面に倒れた…。
「…死んじゃったの?」
あたしが恐る恐る聞くと、ダールさんは大きな口を開けて笑う。
「おいおい。俺たちは、モンスターを捕まえる仕事してるんだぜ? 殺すわけないだろ。麻酔だよ。麻酔」
「麻酔って何ですか?」
「麻酔ってのは、簡単に言うと、眠り薬みたいなもんだ」
そう言うと、ダールさんは、ふっと後ろを見る。
その視線をたどっていく、うわ。サムワさん一人でモンスター捕まえてるよ。なんかすごいなぁ…。
なんだか複雑…。モンスターを痛めつけて捕まえるなんて…。でもそんな事言ったら、あたしが食べているお肉やお魚だって…みんな可哀想になっちゃう。
「嬢ちゃん、俺達はな、決して同情心を残して、モンスターを狩ったりはしない。それをするのは、モンスターに対して失礼だ。向こうも本気になって俺達に向かってくる。だから、俺達も本気になる」
 ダールさんの言う通りかな。あたし都合のいい時だけ同情心をつけてるのかもしれない…。
ところで、さっきあたしを襲ってきたモンスターって何だろう。ダールさんに聞くと、こう答えてくれた。
さっきの怪物の名前は、ジェラドといい、体長は約五メートル程、趣味の悪いどす黒い紫色の翼、その血走った目で獲物をにらむ。性格は凶暴で、同一種族以外は、すべて敵とみなし、襲ってくる。
そんな危険な怪物とあたしは、張り合ったのだ(実際は、腰を抜かしていたんだけど、ここはかっこよく言ってみた)。
あたしの城には、そんな危険なものはいない! いるといえば、妹のパヨリンくらいかな? やっぱり城を出ると、色々なものがいるんだな。初めて実感をした。あたしを襲ってきたモンスターを、いっぱい集めることができた。モンスターって色んな種類がいるんだ。教科書で見たやつがいたけど、やっぱり実物で見ると違うなぁ。なんていうか迫力満点? 怖かったけど。
あたしは、今日あった出来事を、絵日記にして、書き残した。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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