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王女パヨピヨ愉快な仲間達 GROW UP〜王家の指輪〜  作者:桜田霞

第14回   小さい王女に大きな試練!
マグマの上に大きな天秤が現れ、左には指輪が乗っており、右には、丸い玉が現れた。その中には、ハンドとシャドル、コルクとシャパさん。それにドラゴンちゃんが閉じ込められている。
「どうなってるの!? なんでハンド達が」
「彼らには人質になってもらいました」
と、レッドフレイム。
「どうなってんだ?」
シャドルが玉の中から騒ぐ。
「いちいち騒ぐな。見ればわかるだろ」
ハンド君が呆れたような口調で言う。
「今は、喧嘩している場合じゃないぞ」
コルクがなだめるが、二人はにらみ合ったままだ。
「そこからは出れませんよ」
と、レッドフレイムの声が響き渡った。
なんとなく嫌な予感がした。
「みんなを出してあげて! 一体何を始めるの?」
「王家の指輪を取るのなら、彼らには、このままこの墓に幽閉することにいたします。彼らを選ぶのなら、指輪を取る事ができなくなりますよ」
と、レッドフレイム。
そんなのって…。あたしどーすればいいの?
ハンド達を見捨てるわけにもいかないし、それに王家の指輪を捨てることも…できっこない。だって唯一家に帰る手段だし、それに、王家の指輪っていったら、とっても貴重なもの。
「簡単な事です。仲間と言っても、彼らとはつい数日前までは他人だったのですよ?」
「てめぇ! 何おちびちゃんに変なこと吹き込んでやがんだよ!」
アヨユがあたしのポケットから急に出てきた。
「ああ。なんでここに…」
 ポケットに入れたままだった。コインだから危害はないのかな?
「これを決めるのはパヨピヨちゃんなのですから、恨みっこなしですわ」
シャパさんが真剣な顔で言う。
「あたし…あたし」
緊張や焦りのせいか、手が汗でびしょびしょになっている。マグマの熱のせいかもしれないけど。
もう嫌だ。ここから逃げ出したい。
「パヨピヨちゃん。ゆっくり落ち着いて聞け」
 アヨユがポケットから顔をひょこっと出す。
「レッドフレイムとやらの言葉に惑わされるな。以上。俺様からのアドバイスだ」
 それだけ言うと、アヨユはポケットから顔を出さなくなってしまった。
「さあ。決めなさい」
レッドフレイムの声がさっきよりも強く聞こえる。
それに合わせ、マグマの音があたしを急かしているようにも聞こえてきた。
「父上にも、同じ試練を出したの?」
「そうですよ」
 今王になっている父上は…王様になる方を選んだってことか…。
「こんなのできない! わかんないよ!」
あたしは泣きながら、その場に崩れ落ちた。
あぁ、情けない。なんでこんなことで泣いてるんだろ。
「おい」
相変わらず無愛想な声であたしに呼びかけるハンド。
涙目で顔を上げると、いつもと変わらない無表情の顔がそこにあった。
「お前が必要な指輪を選べ」
「無理だよ。ハンド達を見捨てろっていうの?」
「俺達は死なない」
前と同じ自信に溢れている顔だ。
 父上が王様になる方を選んで、仲間を見捨てたのなら、あたしはそこまでして国を継ぎたくない! そんなものなんていらない! 
「あたしに必要なのは、仲間の方です!」
「いいのですか? 国を継ぐ事はおろか…城へ戻れなくなるかもしれませんよ?」
 レッドフレイムの言葉に、あたしは何かが切れた。
「あたしは仲間の方が大切なの! 初めて一緒に旅をした仲間なの!」
「わかりました…」
 すると、レッドフレイムから眩い光が放たれた。
 
父上は、仲間を選びましたよ。それで、王家の指輪を手に入れました。正解は、仲間を選んだ方ですよ…。

レッドフレイムの声が白い記憶の中で聞こえてきた。とっても安らげるような声で、あたしに話しかける。そして、右手には王家の指輪が現れた。
「ああ。やったわ。王家の指輪…」
その眩しい光を受け、丸い玉からみんなが解放された。それと同時にポケットの中にいたアヨユが出てきた。
「うっ…」
 アヨユが眩しい光に包まれ、その光を見ると、アヨユが人間の影を帯びていた。
「まさか…人間に戻ったの?」
 あたしがアヨユの側に駆け寄った。
 その姿は人間の姿だ。間違えなく人間の足に人間の手を持っている。そして顔はなかなかの美青年だった。文句の言い様のない顔だ。目はエメラルドグリーンで、綺麗な金髪が肩まで伸びている。そしてその髪を掻き揚げるアヨユ。
「キザだな」
 あたしがボソっと言うと、アヨユはずこっとこける。
 でもカッコイイ…。この顔なら、ちょっとムカツク言葉でも言ってもいいかも〜。
「あら。意外と美青年ですわね」
 シャパさんが微笑む。
「なんで人間の姿に戻ったんだろう…」
 と、あたしが言うと、聞いてもないのに、アヨユの説明が横から入る。
「王家の指輪の力で呪いが解けたんじゃねーのか?」
 あたしは王家の指輪を見る。アヨユは嬉しそうに自分の体を見ていた。その姿が王家の指輪と一緒に光って見える。
「でも良かった。みんな無事で」
 あたしはそう言うと、みんなに抱きついた。あぁ。ドラゴンちゃんも無事だわ。
「あぁ。良かった…」
 余韻に浸っているコルクの目に何かが飛び込む。
「あれは…」
地面に突き刺さっている二本の剣を見つめる。
「まぁ。これは勇者カインの剣ですわ。つまりわたくしたちの父親ですが…」
「そんなにすごい物なの?」
「ええ。どんな魔物でも切り倒せる剣だと言われてますわ。とっても高級な宝石と鉱石で作った世界に二つしかない剣ですわ」
自分の王家の剣なのに、まったく知らないあたしを見て、シャドルはこう言う。
「お前それでも王女かよ…」
「王女よ! コルクとシャパさん。これを持っていって。お父さんとお母さんの敵討ちに使って」
「しかし…そんなことしてもいいのかい?」
 コルクが不安そうな顔で言う。
「大丈夫よ! 王女はあたしだもん」
ニコっ笑うと、コルクとシャパさんもニコッと笑い返してくれた。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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