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王女パヨピヨ愉快な仲間達 GROW UP〜王家の指輪〜  作者:桜田霞

第11回   再会
さっきからどのくらいまったんだろう。
あたしは大きなあくびを一つすると、背を反らして、上空を見ていた。雲がゆっくりと動いている。
そこへひょっこりと懐かしい顔が逆さまに出てきた。あの深く青い瞳が先に目に入り、彼の漆黒の髪が光に照らされて、綺麗に輝いている。
そう。ハンドだ。これは夢じゃないよね?
あたしは目をこすりながら、ハンドを見る。
「何してるんだ。煙が出てるから来てみれば…」
彼はあたしを見つめこう言う。
あたしは首を戻し、ハンドの方に向きなおす。
 そーいえば、お金!
「それはこっちの台詞。お金と鍵返してよ」
「嫌だと言ったら?」
何も言葉が出なかった。
「理由は簡単だ。俺とお前が一緒にいる必要はない。だから金だけ奪う」
なんていう人なんだ。前から思ってたんだけどね。ここまで性格がひねくれてるとは…。
「ピー」
 ドラゴンが小さく鳴く。ハンドは、その声でドラゴンに気づく。
「おい。そのドラゴンなんだ」
ドラゴンを見て言うハンド。
「えっと。これはさっきの洞窟でドラゴンに貰ったの」
「まさか…」
ハンドはこのドラゴンを知ってそうな口調だ。でも、あえて聞かなかった。
「さっきのは取り消しだ。一緒に行く理由が見つかった。行くぞ」
ハンドはそう言うと、お金の入った袋を返してくれた。王家の鍵をしっかりと確認すると、あたしは、それを首からつるした。
ハンドは、一瞬足を止め、こういう。
「ああ。先に言っとく。俺は方向音痴だから、あまり期待せんほうがいいぞ」
絶望的だった…。
それでもあたし達は、森林地帯へ突入した。
ハンドがいるから、モンスターが出ても平気だし。ハンドとアヨユの紹介を互いにした。やはり、コインというのに驚きを隠せないのか、あのハンドでも、アヨユを見た瞬間目を丸くしていた。
森林地帯は、視界が悪く、草を刈っても刈っても、目の前に必ず現れる。ハンドは、先頭を歩きながら、刀で草を刈る。草の残りかすがあたしの目の前にすっと落ちる。
「くそっ。ぜんぜんあたりが見えん」
「ねね。何か音しない?」
あたしは耳を澄ます。微かに何か鳴っている。何の音なんだろう。
少し広い場所に出ると、その音はまだ響いていた。上空に花火みたいなのが舞っている。
「あぁ。さっき俺達が放ってたスモークの実に答えてるんじゃねぇか?」
アヨユがポケットの中から言う。
「じゃあ。行ってみよう」
あたし達は、音がなる方へ向かった。だんだんと音が近くなっていき、懐かしい声が飛んできた。
「パヨピヨ!」
 目の前の大きな草から声が聞こえた。
「ん? あ。その声はシャドル?」
あたしは目の前にある大きな草をどかすと、そこにはシャドル達がいた。
「なにが。シャドルだ! みんな心配してたんだぞ」
「ああ。わりぃわりぃ。俺様のこと心配してたんだな」
ケラケラと笑うアヨユは、その場の空気が一瞬白けたのを感じ取る。それっきり、ポケットの中に入ったままだ。
「とりあえず広い場所へ出ようか。ここでは話にくいだろ?」
 コルクがみんなを広い場所へと誘導する。
「良かったわ。向こうで、ケムリが立っていたので、合図したかいがありましたわ」
シャパさんがほっと胸をなでおろす。
「何それ?」
 モイストがドラゴンを指差す。
「私もさっきから気になってたけど、どこから拾ってきたんだ?」
 意外に間抜けな質問だ。もうちょっと大騒ぎすると思ってたんだけどね。
「この子は後で説明するね」
「まぁ。無事でよかったな。パヨピヨが急に消えたから、びっくりしたじゃないか」
コルクがいうと、隣にいたモイストも小さく頷く。
「なんかね。あの洞窟で穴に落っこちちゃってね。そいで、あの山から出てきたんだ」
「なんかよくわかんねーけど。って、あああああああああああ」
シャドルは、そういうと、ハンドの腕を掴む。
「なんだ」
ハンドは冷たく払う。
「なんだじゃねーよ。おれの金返せよ」
シャドルってば、そんなに突っかかった言い方しなくてもいいのに。
「金ごときでぐだぐだ言うな」
ハンドはそう言うと、お金の入った袋を、シャドルの胸に押し付けた。
「なんだと!」
「ちょっと! 喧嘩してる場合じゃないでしょ! みんなで協力して、森を出よう!」
二人は睨み合うのをやめ、お互い反対の方を見る。
なんか。先が思いやられる。
「日が暮れますわ。夜に進むのは危険ですので、今晩の寝床はここにしましょうか」
シャパさんが辺りを見回す。
そういうわけで、あたし達は、ここを寝床にすることにした。
また野宿か…。いい加減ベッドで寝たいのにー…。草のベッドってのも悪くないけど、ただ虫が出るのがなぁ。あたし達は、また魔法陣を描いた中に入った。夕食は、またシャパさんが作ってくれた。やっぱりシャパさんの料理は、いつ食べてもおいしいや。あ。そうそう。食べている最中に、ドラゴンちゃんの事紹介してあげた。
「可愛いドラゴンですわね。何を食べるのかしら」
 シャパさんはそう言って、カボチャのスープをドラゴンちゃんに飲ませる。
「ピー」
「あはは。食べた食べた!」
「これなんか食べるんじゃね?」
 シャドルの声が後ろからして、振り返ると、大きな蜘蛛を素手で持っていた。
 その瞬間体に寒気が走った。
「うぎゃああああああああああああああ!」
 あたしは身をひるがえし、慌ててコルクの後ろへ隠れる。
「な、何すんのよ! そんな恐い物乙女に向けないでよ」
 あたしは抗議の声を上げる。それとは裏腹にドラゴンちゃんはそれを見て目を輝かせる。
「ピーピー」
 シャドルの側まで行くと、その蜘蛛をパクっと食べた。
「ひえええええ。あんなのえさにするの?」
 あたしはドラゴンちゃんをじっと見た。
「どうやら虫の方が好物のようね」
 シャパさんはクスクスと笑う。
「あたし…虫触りたくないよ」
そう言うと、みんなは顔を見合わせて笑った。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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