1. きらい
“いまどきのわかもの”が嫌い。 何の苦労もなしに愛して貰えるから嫌い。 愛して貰えるのが当たり前だと思ってるから嫌い。 それゆえの軽率な行動が嫌い。
そういう風に考える自分がきらい。 人に触れることすら知らない自分が。
2. 生きる
わたしはやりたいことをやる。 可愛いワンピースを買う。 髪を染める。 美味しいごはんを作る。
限界から目を逸らす。
わたしはやりたいことをやる。 晴れた日に散歩に出る。 雑誌を読む。 映画を見る。
不安感を無視する。
わたしはやりたいことをやる。 花を愛する。 風景を愛する。 ゆっくり流れる時間を愛する。 愛しい人を愛する。
疑問を感じないように努める。
そうやってぎりぎりのところで保って生きてる。 ほんの少しでも掻き乱されたなら音を立てて崩れ落ちる。
3. ことば
ほんとにどうしようもないときってことばって無力だ。
最初っからことばなんて無ければかえってこんな頭のなかごちゃごちゃしなくて済んだのにって思うくらい無力だ。
ごちゃごちゃしたのを整理するためにことばって発達したんだろう。
でも余計ごちゃごちゃしてくる。
自分の感じてる思ってることをことばに表そうとして今の状態を見つめてみようとするんだけど、やっぱり目をそむけてしまう。 怖い。 自分の感情を認識することが。 そしたら溢れ出しちゃいそうだから。 壊れちゃいそうだから。 溢れ出したものをすくってくれるものすら無い。
自分の感情なんて見ない方がいい。 見てないからこそ今こうしてどうにかやっていけてるんだから。 自分の中の声なんて聞かない方がいい。
ひとりぼっちだって 怖いって さびしいって 痛いって 寒いって つらいって 苦しいって
愛しいって 会いたいって 傍に居て欲しいって
4. かなしみ
現実感がない
足元がふらふら浮かんでる感じ
どこまでが他人でどこからが自分なのかわからない
どこまでが夢でどこからが現実なのかわからない
全部夢じゃないかって思う
現実なんて初めから存在しないんだって
わたしが今こうして居ることも
今こうして生きてることも
夢なんじゃないかって
いっそそうであればいいのにって
思いながらも
大好きな人の笑う顔が浮かんで消えて
消えて
もう誰の姿も浮かんでこなくなって
わたしの中で何かが死んで
みんな居なくなって
何も無くなって
上下も左右もわからない空間で
足が地面に触れているのかもわからない空間で
泣いてるのか笑ってるのか呼吸をしてるのかもわからない空間で
ひとり
叫んだのかつぶやいたのか
声をあげても誰の耳にも届かないし
自分の耳にすら届かないし
手を伸ばしても何も触れないし
何も見えないし
目も耳も皮膚もこころも
感覚を失ってきてる感覚
記憶が削られてく
わたしが消えてく
風に吹かれた砂山みたいに
少しずつさらさら
飛んでく
消えてく
さよなら
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