結局、食堂にはかけうどんしか残っていなかった。 まぁ、それでもましな方だ。あたし達は二人分の空いている席を探し出して――見つける前にうどんが伸びそうだったけれど――、180円のその一杯のかけうどんをズルズルと頂く。由香も同じ。でも、彼女はあたしが半分も食べる前に器を空っぽにしてしまった。 食べ終わった由香がジッとあたしの方を見る。あたしはもう慣れてしまっていて、別に気にしない。そこで、彼女は昨日自殺したアイドルタレントの話をした。別にどうと言う話でもなかった。 「・・・・いい?」 「え?」いっけない。食べるのに夢中で由香の話を聞いてなかった。「ごめん、何?」 「真奈美、放課後、空いてる?」 「うん――、由香こそ部活があるんじゃないの?」 あたしは聞いた。それが由香の日課だったからだ。 「今日はいいの。それより付き合って欲しい事があるの。ね、いいでしょう?」 帰宅部のあたしに断る理由なんかない。ましてや親友の願いだ。 二つ返事で約束すると由香は「ありがと」と微笑んで、それっきりその話題には触れなくなった。 あたしが訊ねても何故かはぐらかすばっかりで、由香は答えてもくれない。こうなるとこっちも意地で――、由香が何を言おうが、何をやろうが驚かないぞと、意気込んでしまう。それでもやっぱり気になって、五・六時間目の授業にはさっぱり身が入らなかった。 あたしはちょっとだけ由香を恨んで、最後の清掃が終わればすぐ、彼女の所に詰め寄るつもりでいた。
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