「舞って、スタイルいいわよね」 「ヤダ、いきなり何ですか?」 亜由美の言葉に、舞は笑う。 「先輩だっていけてますよ」 「う〜ん、でも私は背が低いし、舞みたいにはねぇ」 手を洗いながら、亜由美は言った。背が低いのは彼女の唯一のコンプレックスかもしれない。 でも、舞って、どうやって自分のスタイル決めてるのかしら? まさかファッション雑誌か何かを見て、気に入ったのに変身してるんじゃ・・・・。 「どうかしました?」 舞は洋剣の化身だ。当然人間の姿に変身して、暮らしているわけで・・・・。 「何でもない」 亜由美は笑ってごまかした。そんなわきゃないか。 「でも、山川先輩って背が高いから、お似合いですよね?」 「え・・・・。まぁねぇ」 「まぁねぇって、そこ否定しないんですかぁ!」 ジト目で舞がそう言うと、先輩をからかうんじゃないのと、亜由美は苦笑した。舞は 「私も先輩一筋なんですから、たまには時間開けておいて下さいよ・・・・!」 と、言う。 「あ、あのね、舞――」 「で、山川先輩とはどうなってるんですか?」 「どうって・・・・」 舞の大きな瞳が亜由美に向けられる。とぼけた顔をしていても、いたずらっ子の様に彼女の目は笑っている。それが亜由美にはよく分かる。分かっても反論できないところが悔しい。 「背が低い人って、何かいいですよね? こう、男の人に大きく包んでもらえるって言うか――」 舞が自分の体を抱くふりをした。「先輩も山川先輩に抱かれてるんですよネェ?」 この質問は亜由美に向けられたようで、そうではない。 「いいなぁ、あたしも先輩みたいなカワイイ女の子、抱いてみた〜い」 ま、舞って・・・・やっぱり、変・・・・。 引きつった笑顔を浮かべながら、亜由美はそう思った。ま、ちょっとばかり人とは違う感覚を持っていたとして、それは仕方ないのかもしれないが。 しかし、そんな事よりも、やっぱり背の高い方がいいなぁと、亜由美は亜由美で後輩のスタイルを盗み見ては思うのであった。
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