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劣等感の裏側に 作者:上山環三

第1回   イントロダクション
 「舞って、スタイルいいわよね」
 「ヤダ、いきなり何ですか?」
 亜由美の言葉に、舞は笑う。
 「先輩だっていけてますよ」
 「う〜ん、でも私は背が低いし、舞みたいにはねぇ」
 手を洗いながら、亜由美は言った。背が低いのは彼女の唯一のコンプレックスかもしれない。
 でも、舞って、どうやって自分のスタイル決めてるのかしら? まさかファッション雑誌か何かを見て、気に入ったのに変身してるんじゃ・・・・。
 「どうかしました?」
 舞は洋剣の化身だ。当然人間の姿に変身して、暮らしているわけで・・・・。
 「何でもない」
 亜由美は笑ってごまかした。そんなわきゃないか。
 「でも、山川先輩って背が高いから、お似合いですよね?」
 「え・・・・。まぁねぇ」
 「まぁねぇって、そこ否定しないんですかぁ!」
 ジト目で舞がそう言うと、先輩をからかうんじゃないのと、亜由美は苦笑した。舞は
 「私も先輩一筋なんですから、たまには時間開けておいて下さいよ・・・・!」
 と、言う。
 「あ、あのね、舞――」
 「で、山川先輩とはどうなってるんですか?」
 「どうって・・・・」
 舞の大きな瞳が亜由美に向けられる。とぼけた顔をしていても、いたずらっ子の様に彼女の目は笑っている。それが亜由美にはよく分かる。分かっても反論できないところが悔しい。
 「背が低い人って、何かいいですよね? こう、男の人に大きく包んでもらえるって言うか――」
 舞が自分の体を抱くふりをした。「先輩も山川先輩に抱かれてるんですよネェ?」
 この質問は亜由美に向けられたようで、そうではない。
 「いいなぁ、あたしも先輩みたいなカワイイ女の子、抱いてみた〜い」
 ま、舞って・・・・やっぱり、変・・・・。
 引きつった笑顔を浮かべながら、亜由美はそう思った。ま、ちょっとばかり人とは違う感覚を持っていたとして、それは仕方ないのかもしれないが。
 しかし、そんな事よりも、やっぱり背の高い方がいいなぁと、亜由美は亜由美で後輩のスタイルを盗み見ては思うのであった。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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