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face 作者:雪邑楓

第4回   少女1
「悪いのは・・決まってるじゃない。
 あいつよ」
突然口を挟んできたのは少年の斜め上に居た少女の顔。
可愛らしい容貌にそぐわぬきつい言葉。
そしてやはり俺を憎しみの眼差しで睨み付けてきた。

「・・本当にそうかの?」
婆は何気なく問う。
「え?」
「本当にこの若いのが全て悪いのか?
 何もかもがこやつの所為なのか?」
婆はちら、と少女の方を見る。
「え・・・」
困り果てた少女を見やり、婆は優しげな表情を浮かべ、小さなため息をついた。
「いつの時代だってそうだ。
 みんな被害者意識を持つんだ。
 自分は悪くない、自分は被害者だ、かわいそうなんだ、ってね。
 だが、本当にそうか?
 自分は本当に悪いことを一つもしていないのに被害を被ったのか?
 私にはどうしてもそうは思えない」
一息ついた婆は俺の顔をまじまじと見つめてきた。
「お前さん、この子はな・・」
少女を見上げながら婆は愛おしそうに目を細めた。
「自分で死を選んだんじゃ。
 それなのに、もうそんなことは忘れておる。
 だが、それは責めてはならん。この子の責任じゃあないからね」

「なぁ、婆。
 ここに居る奴らは・・・みんな、俺の知り合いか?」
ずっと気になっていた問いだった。
見覚えも無いのにこいつらは皆俺を憎んでいる。
見覚えも無いやつに憎まれる・・・俺にとってそれは日常茶飯事ではあるがあまりいい気はしない。
「いや、違う」
婆は真っ向から否定した。
「だがな、この中にはお前の知り合いもいるだろう。
 思い違いをしたやつも、お前とは知り合いじゃないがお前に関係したやつもいる。
 いろいろだよ、若いの」
関係する?
やはり何も思い出せない。

そろそろ仕事の時間が迫っていた。
毎日毎日、俺は時間に追われている。
仕事と仕事の合間を縫って、ほんの少しでも時間があれば俺はここへ、自分の巣へと帰ってくる。
それは或いは帰巣本能かもしれない。
また或いはこれは・・・懺悔なのかもしれない。
俺が、今ここで生きていることへの。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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