通信高校へ入学してからは平日はアルバイト、休日は学校と結構忙しくやっていた。
ナオヤはゆらが学校を終わる頃に迎えに来てくれて色んなところへ遊びに行った。
バイト先にも顔を出してくれたりもした。 ゆらとナオヤの距離は少し離れていたけれど、毎日頻繁にメール、電話をし離れているのがもどかしかった。
なんでも一緒な二人。 好きな食べ物、見るテレビ、読む漫画、行きたいところ・・・ これでもかというほど一緒だった。こんなに共通するものがあるなんて珍しいぐらいだ。 運命さえ感じた。
毎日ナオヤと一緒にいたくなった。母親は交際自体を賛成してくれなかった。 なぜかというと、ゆらは夜にどうしようもない恐怖に襲われることかあった。家にいたくてもいれない辛さを感じていて、この状況から助けてくれるのがナオヤだった。
「・・・今すぐきて」 そう言えばナオヤは深夜だろうとゆらをさらいに来た。 そのたびに母親はゆらの手を引っ張り行かせないようにしたがそれを振り払い何度も家出をした。
翌日の朝には帰るわけだが・・・ だんだんと家出癖は酷くなり、足音がしないように裸足で外の砂利を踏んだり、嘘もたくさんついた。
一緒にいればナオヤの携帯にも母親からの電話で帰せと強く念を押されていた。
ゆらは母親を口うるさいと思うようになり、なんでナオヤと離れてなければいけないのだろうと強く思うようになった。 ・・・離れていなければいいのに。
そんな思いが強くなったある日、ゆらはナオヤに相談した。 「同棲しよう」と。 しかし2人には生活を始めるお金はない。 ナオヤに貯金はなく、ゆらは少しあったけどアパートの資金にしてしまえば家具家電をそろえるお金がない。
お金がないのに出来るわけがない。 そこでまだ若い2人はお金を借りるという安易な考えにたどり着く。 どこで借りるんだ・・・と考え 親は?←ダメ 銀行は?←ダメ 友達は?←ダメ ・・・なら消費者金融しかない。 初めは消費者金融に借りるのは絶対嫌だとナオヤに訴えた。怖さは父親ので十分に知っていたからだ。
ゆらの父親はかなりの借金を作って蒸発した。 借金のせいでゆらの子供時代はかなり辛かったんだ、毎日のように取り立ての電話。親戚からの母親を困らせるんじゃないよと言われ続けたプレッシャー。ゆらの自己はかなり押し込められた。 偽りの自分でいた。
「じゃぁ、二人暮しは出来ない」 ナオヤの言葉にゆらはそれも嫌だといった。
お金が溜まるまで待てなかった・・・・ ナオヤと毎日いる事が、ナオヤが私の全てだから。
変な自信がゆらを勇気付けた。 「あんなに借金で苦労した私だから私がしっかりしていれば大丈夫」と。とうとうナオヤにお金を借りさせた。
消費者金融はかなり手軽で無人契約機が今では普通なやり方だ。 中には借りる本人しか入れないのでゆらはナオヤの車の中で待っていた。 けど、心配なので契約機の扉の横にそっとしゃがみこれからの事を考えていた。
30分後。 「借りれたよ」 とナオヤが封筒を手にしていた。金額は20万。 人間度胸が決まると恐怖心も消える。 ゆらはこれで二人でいられる!! そう思えたらこれから先の事がわくわくドキドキしてきた。
ナオヤのいい奥さんになりたい。 辛い事あっても乗り越えていける。 私がしっかりお金の管理をすれば大丈夫だし、支えあえる。
ゆらの親には内緒で部屋を決め、全て準備をした上で母親に告白をした。 反対されるのはわかっていたのでもう取り消しが出来ないところまで話を進めておいた。 母親には酷だったと今では思う。 なんでゆらはいつの間にかこんな風に隠し事をしてまでここから出で行きたいの・・・と自分をせめているようだった。
けれど、あの時の母親の表情はまだ強かったような気がする。
自宅から荷物を運ぶとき、母親が細かな食材をくれた。 あとでお金を払う条件だったが、そんな事は重要ではなく、娘を心配しての協力だった。
たくさんぶつかってきたけれど、ゆらは母親の娘でよかったと思えた。 今まで厳しかったのがのちのち自分の力になり、何も出来ない子よりは断然ましな事に気づくのだ。
ナオヤとの同棲生活が始まった。
Emotion3 同棲 END
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