「おはよう。」 「ああ、おは・・・・・。」
いつもの通学路。
聞きなれた声に振り向いた瞬間、目に飛び込んできたのは、目に痛いくらい鮮やかな黄色の花。
「おま・・・・。なにそれ。」 「ひまわりだよ。」 「いや、名前くらいは知ってる。なんでそんなん抱えてるんだって意味。」 「教室に飾ろうと思ってね。殺風景じゃん?」 「はぁ・・・・・。」 「眩しいだろ、この色。」 「うん。」 「アイツに向かって精一杯咲いてたからね。」
ヒロトはそう言って、まだ東の低い空に浮かんでいる“アイツ”を指差した。
「アイツか・・・・・。」
「一途にアイツを見つめてたんだよ。アイツはこいつを一生懸命照らして、ここまで綺麗にさせた。」
ヒロトの言葉に、何故か惹き込まれてしまった。
ひまわりと太陽の関係。
それがとても崇高なものに思えてきて。
「ひまわり好き?」
ふいにヒロトに問いかけられる。
ひまわりのように眩しいヒロトに。
「好き・・・だよ。」
俺が答えるとヒロトは嬉しそうに笑う。
「俺もね、大好き。」
朝日に照らされてやわらかく黄色く光るヒロトの髪。
眩しいほどのその笑顔も。
好きだよ。
俺の思いにキミが気づくことはないのだろうけどね。
大好きだよ。
俺のひまわり。
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