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ひまわり 作者:ジュリ

第1回   1
「おはよう。」
「ああ、おは・・・・・。」


いつもの通学路。

聞きなれた声に振り向いた瞬間、目に飛び込んできたのは、目に痛いくらい鮮やかな黄色の花。


「おま・・・・。なにそれ。」
「ひまわりだよ。」
「いや、名前くらいは知ってる。なんでそんなん抱えてるんだって意味。」
「教室に飾ろうと思ってね。殺風景じゃん?」
「はぁ・・・・・。」
「眩しいだろ、この色。」
「うん。」
「アイツに向かって精一杯咲いてたからね。」

ヒロトはそう言って、まだ東の低い空に浮かんでいる“アイツ”を指差した。

「アイツか・・・・・。」


「一途にアイツを見つめてたんだよ。アイツはこいつを一生懸命照らして、ここまで綺麗にさせた。」


ヒロトの言葉に、何故か惹き込まれてしまった。


ひまわりと太陽の関係。

それがとても崇高なものに思えてきて。


「ひまわり好き?」

ふいにヒロトに問いかけられる。

ひまわりのように眩しいヒロトに。


「好き・・・だよ。」


俺が答えるとヒロトは嬉しそうに笑う。


「俺もね、大好き。」





朝日に照らされてやわらかく黄色く光るヒロトの髪。

眩しいほどのその笑顔も。

好きだよ。



俺の思いにキミが気づくことはないのだろうけどね。


大好きだよ。

俺のひまわり。

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