■ トップページ  ■ 目次  ■ 一覧 

ダブルビジョンA 作者:ジュリ

第2回   2
【晴side】




学校に着くまで、いつものように他愛もない話をした。



でも昨日の夜のことには一度も触れなかった。



触れるのが怖かった。





「今日生徒会は?」

「無いよ。」

「じゃいつもの時間に、な。」

「うん。じゃね。」





普通に話していても頭では昨日のキスを思い出してしまう。





昨日の夜、俺の肩で泣いていた七緒に思わずキスしてしまった事に自分自身動揺した。





自分が今まで隠し通してきた気持ちに気づかれてしまったんじゃないだろうかと思っていたけど、



今朝の七緒の様子からもその可能性は低そうだ。




「おはよう。」

「あ・・・。どうも。」

「どうもじゃなくてさ、オハヨウって言われたら?」

「・・・おはようございます。」

「よし。」



生徒会長の三嶋先輩だ。



「・・・なんスか?」

「七緒くんと仲直りした?」

「仲直り?喧嘩してないですけど。」

「昨日元気なかったよ?俺の話も上の空って感じだったし。」

「それは先輩の話がつまらなかったんじゃないですか?」

「!!い・・・意外と毒吐くねぇ。」

「スイマセン。」

「う〜ん・・・・やっぱ双子だね。よく見ると晴くんも綺麗な顔してる。」

「・・・あんま嬉しくないっすよ。綺麗だとか。」

「そう?すっごい褒めてるんだけど。」

「・・・話、終わりですか?もういいっすかね?」

「あ、ごめんごめん。じゃ。」





未だによく分からない先輩だ。



でも七緒のことを心配してくれてるみたいだし、とりあえず、ありがとうございます。


← 前の回  次の回 → ■ 目次

Novel Editor by BS CGI Rental
Novel Collections