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黄色いサンタクロースとタンバリン黒ねこ 作者:神門ぺぷしY

第1回   1
 黄色いサンタクロースの家に手紙がとどきました。それに
は、こんなことが書かれていました。

「黄色いサンタクロースさんへ 新しい家へ、ひっこしまし
た。遊びにきてください。タンバリン黒猫より」

 タンバリン黒猫というのは、いつも手にタンバリンを持っ
ていて「シャカシャカ」と鳴らしていて、お話するときは、
声にあわせてタンバリンを「タンタン」とたたきます。その
タンバリンに不思議な力があるといわれています。他の動物
たちは、タンバリンの力がこわくて、タンバリン黒猫に近づ
こうとしませんでした。
 でも黄色いサンタクロースは、だれともなかよくつきあって
いましたからタンバリン黒猫とも、おともだちでした。

 つぎの日、黄色いサンタクロースは黄色い自転車に乗って、
出かけました。タンバリン黒猫の手紙には、新しい家の地図
が描いてあり、家は砂漠の中にありました。砂漠までやって
くると黄色いサンタクロースは黄色い自転車をおりました。
しばらく砂漠の中を歩いていくと、靴の中に砂が、いっぱい
入ってきました。
「これは、こまった」
 そういうと黄色いサンタクロースは、靴をぬいで砂を出し
ました。しばらくすると、また靴に砂が入りました。
「また、こまった」
 そういうと黄色いサンタクロースは、靴をぬいで砂を出し
ました。しばらくすると、また靴に砂が入りました。
「またまた、こまった」
 そういうと黄色いサンタクロースは、靴をぬいで砂を出し
ました。しばらくすると、また靴に砂が入りました。
 こうして何度も靴をぬいで、砂を出して、砂漠を歩いてい
きました。

 遠くに青い海が見えて、大きな船が空を浮かんでいました。
「あ、蜃気楼だ。カモメが飛んでいるのも見える」
 しばらく歩くと、今度は、大きな町が、さかさまに見えま
した。
「また、蜃気楼だ。人が、反対に歩いているぞ」

 いろんな蜃気楼の景色を見て元気が出た黄色いサンタクロ
ースは、また歩き出しました。こうして靴の砂を何度も出し、
蜃気楼を何度も見て、ようやく看板を見つけました。それに
は、こんなことが書いてありました。
「もうすぐ、タンバリン黒猫の家です→」

 その看板には、矢印がついていました。それを見て、そち
らへ歩いていこうとすると、看板が、ぱたりとたおれました。
砂の中にたっていたので、かんたんにたおれてしまうのです。
「あれ、どっちだっけ」
 砂漠の中で方向が、わからなくなってしまいました。

 そのとき、砂の中から砂漠犬が、出てきました。砂漠犬は、
背中に水をためておくこぶがついている犬です。砂漠で暮ら
しています。
「タンバリン黒猫の家に行くのならば案内してあげるよ」
「それは、たすかります。ぜひ、おねがいします」

 こうして砂漠犬についていってタンバリン黒猫の家につき
ました。そこは、赤いレンガを積み上げた家で、まわりに、
ほんの少しだけ木がはえていました。ちょうどタンバリン黒
猫が、木に水をやっていました。
「これは、これは、黄色いサンタクロースさん、ようこそ、
いらっしゃいました」
「途中で道がわからなくなって、砂漠犬さんに、つれてきて
もらいました」
 そういうと砂漠犬をさがしましたが、もういませんでした。
「あれ、ここにいたのに」
「いつも、砂漠犬さんは、いつも、お部屋へ入るように、お
さそいするのですが、家のまえで砂の中にもぐってしまうん
ですよ」
 タンバリンをたたきながらいいました。
「そうなんですか」
「さあ、どうぞ」
 黄色いサンタクロースは、タンバリンの音をききながら部
屋に入りました。お茶を飲みながら、お菓子を食べながら、
いつまでも、お話を楽しんでいました。
「それでは、そろそろ帰ります」
「そうですか。それは、ざんねんです。今日は、たずねてき
てもらって、ありがとう」
「お茶とお菓子ごちそうさまでした」
 部屋を出ると、表に砂漠犬がまっていました。
「砂漠犬さん、さっきは、ありがとうございました。ところ
で、どうしたのですか」
 たずねると、こたえました。
「黄色いサンタクロースさんをおくっていくよ。砂漠は、暗
くなると迷ってしまうからね
「砂漠犬さん、ありがとう。いまお菓子を持ってくるからも
っていってください」
 そういうとタンバリン黒猫はシャカシャカとタンバリンを
鳴らしながら部屋にもどって、紙の箱に入ったお菓子を持っ
てきました。
「はい、気をつけて」
 紙の箱をうけとった砂漠犬は、いいました。
「ありがとう」

 黄色いサンタクロースは、砂漠犬につれられて砂漠の中を
歩いていきました。うしろでは、いつまでもタンバリン黒猫
が見送っていました。
                       おしまい

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Novel Editor by BS CGI Rental
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