―――4日目―――
「悠介さーん」
「はーい…」
彼女に起こされるのも、これで4回目だ。彼女はいつも同じ起こし方をする。
僕は彼女には昨日の夜の事は言わないと決めていた。
だから出来るだけ彼女に心の奥の不安を見透かされないようにいつも通りに振舞うようにした。
「今日はちょっと私、考えがあるんですよ」
「何ですか?…」
僕は目ヤニをとりながら彼女の話を聞いている。
「後で教えますよ。門で待ってます。」
―――園山家の門
「で、サヤカさん。考えって何ですか?」
「悠介さん、ご飯食べてないでしょ?」
「はい」
「そんな悠介さんの為に朝(昼)ご飯を作っちゃいまーす!」
「え?サヤカさんがですか?」
「はい!昨日、悠介さん私に何か披露しろって言ったでしょ?それに前にも言った通り私の家すぐ近くなんですよ」
「ついてくるだけ」のはずの彼女が自分から行き先を提案(強制)したのは珍しかった。
「さっ、行きますよ」
彼女はそう言っていつもの通り僕の左腕を掴んだ。
「サヤカさん、僕についてくるだけじゃなかったんですか?」
「あら?もしかしたら嫌なんですか?」
「いや、楽しみですよ。そういう事では無くてですね…」
「悠介さんの食事管理も新しく私の仕事に加わりましたので」
「親父がそう指示したの?」
「私が決めました」
もはや初日の彼女の言葉は撤回されたらしい。でも、僕は彼女が自分から行き場所を提案してくれたのが嬉しかった。
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