―――3日目―――
「悠介さーん。起きてくださーい。お散歩行きますよー」
うう…朝だ(ほとんど昼だが)…
どうやら彼女はドアの所に立って僕に呼び掛けて起こすのが“お約束”になったようだ。
今、思ったが彼女は日が増すごとに“ノリ”が軽くなっている。
「悠介さん、いつも自分の力じゃ起きませんね」
「サヤカさんに起こされるのが楽しみなんですよ」
僕は冗談ぽく言い返してやった。
「…と言うより、サヤカさんが徐々に起こす時間早くしてるからですよ」
「悠介さんの寝顔見るのが楽しみなんですよ」
「……………」
彼女はいつも僕より一枚上手だ。
「じゃあ、門の所で待ってますね」
―――“お約束”の矢野崎公園で僕たちは休んでいる
「家、花火、両親…他にサヤカさんに聞いてないことってありましたっけ?」
「なんか、あれですね。お見合いみたいですね」
「そうですか?」
「そうですね…うーん…趣味っていうのはどうですか?」
「そうだ。1番ベタなの忘れてましたね」
「趣味かー。シュミ…シュミ…」
彼女は「うーん」と頭を悩ませる。
「趣味って言う趣味はないですね。しいて言えば散歩ですかね」
「散歩かー。なんか合気道とか乗馬とか魔術とか面白いの期待してたんですけどね」
「何も面白い趣味が無くて悪かったですね。私に聞いたんですから、今度は悠介さんの番ですよ!」
「僕ですか?残念ながら僕はありますよ」
「本当に?何ですか?」
「僕の部屋の入った所の脇に大きなオーディオが置いてあったでしょ?」
「はい」
「それです」
「音楽鑑賞ですか?」
僕は彼女の質問にすぐに答えずに少し考えた。アイディアが浮かんだのだ。
「サヤカさん」
「はい?」
「たまには違う場所に行ってみませんか?」
「本当ですか?行きましょうよ!で、どこなんですか?」
「その前に遅くなると厄介だからお手伝いさんに連絡しとかないと」
|
|