―――2日目―――
「悠介さん」
またもや僕は彼女の声で目を覚ました。彼女はまたドアの所に立って僕に話し掛けている。
デジャヴみたいだ。
「あ、サヤカさん。おはようございます」
「おはようございます。やっぱり今日も起きるの遅かったですね。」
「あ、すいません…」
しまった。今日は自分で起きるつもりだったのに…
彼女に起こされたおかげか目覚めがいい。彼女の声にはそんな魅力があるのだろう。
そんな事を考えていると突然部屋のドアが「ガチャ」と開いた。
ドアを開けたのは大竹のオバサンだった。
「お坊ちゃん!さっき電話が入りまして、私の姉が車で事故を起こしたみたいなんです。怪我は大した事ないらしいんですけど、少し面倒な事になってるらしいんで私ちょっと行ってきます!後のことは他の使用人に任せますので」
「僕なら大丈夫ですよ。どうせ今日もサヤカさんと散歩に行きますから、ね?サヤカさん」
しかし、サヤカさんからの反応はなかった。
「お坊っちゃん、私に言ってるんですか?とにかく今、急いでますんで!」
大竹のオバサンはそう言って急いで部屋から出ていった。
「え?あ…はい。気を付けてくださいね」
僕は軽く混乱しながら、大竹のオバサンにそう言った。
いつの間にかサヤカさんは消えていた。
「サヤカさーん?」
と一応、呼んでみたが反応はなかった。
あれ…おかしいな…さっきまでいた筈なんだけど…
門の所に行っても彼女はいなかった。
どうしたんだろう?そう思ってた矢先に彼女が後ろから飛んできて僕の腕を掴んだ。
「驚きました?」
「驚いたも何も…他のお手伝いさんはこんなイタズラしませんよ?」
「さ!行きましょう!」
彼女は僕の言葉を無視して、クスクスと笑いながら言った。僕は彼女のこの笑い方が好きだ。
「サヤカさん、どこに消えてたんですか?」
僕の質問に対し彼女はフフフと笑うだけだ。
「悠介さん、またご飯食べてないでしょ?」
「だって、僕がご飯食べてたらサヤカさん長い時間待つ事になりますよ?」
「それは嫌です」
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