【桑島 庸介<クワジマ・ヨウスケ>】 大阪府大阪市出身。 地元の公立小・中・高を経て、国立高知大農学部に入学。4年後に卒業を果たし、漁野市役所に入庁して6年間の勤務を経て、農協銀行高知西支店の嘱託職員に転職。のち漁野市議選に無所属・新人として出馬、当選者18人中7位で初当選。現在、漁野市議の1期目であり、全18人の議員のうち最年少。党派はもちろん、会派にも所属していない一匹狼。 性格は、普段は温厚だが理不尽や非のないときに癇に障らせると大暴走しやすい。役所時代は、理由を付けて研修をさぼっていた。手間を嫌い、市議らの理不尽さに憤慨したことと漁野市は財政赤字対策を必要とするがために 「宿命的に立候補した」 と周囲には名言している。他の誰よりも、漁野市への愛情を感じるのは市役所入庁への恩返しというところか。 信念がとても強く、他のどの漁野市議よりも先に横谷市政への反旗を宣言し、1人だけになろうとも横谷と徹底的に戦う決意を固めている。
作者本人の地方行政に対するスタンスを凝縮させている。
【横谷 佳彦<ヨコヤ・ヨシヒコ>】 東京都出身。 警視庁公安部がカルト団体の1つとしてマークしている謎の宗教団体・和平神教と密接な関わりをもつとされているとも、それの隠れ蓑的な存在とも政治部門の位置付けともされている政党『黎明党』政調会長。 東京都と神奈川・山梨両県の3都県境にひろがる高尾山系某地に独自の農場を開き、成功を収めているというが実態は一切不明。突如として“出直し”漁野市長選に出馬、当選したことから漁野市は動乱へと巻き込まれる…至って冷静沈着だが、それは 「仮の姿に過ぎない」 とも言われており、本当の彼の素性を知る者は少ないという。 異常なまでに支配欲に冒され、独裁志向もまた強烈だという専らの噂で、政策も農本主義に原理的に冒されているなど、かなり苛烈でエキセントリックな様相を放っているにもかかわらず、なぜ彼は漁野市長にまで上り詰められたのか? 祖先は上野(こうずけ,今の群馬県全域)のいち国人だったが、北条氏の進出に伴って弾圧されている。
『ライアーゲーム』の横谷憲彦がモデルの最有力、という見解が趨勢だが…
【深江 友璃子<フカエ・ユリコ>】 徳島県海浜市出身。 新規参入したばかりの全国新聞『日本新聞』東京本社政治部所属の新米記者。大学で選考していたのは社会学だったため、社会部への転属を望んでいた矢先の異動で、開設されたばかりの高知支局にきたものの、彼女1人だけの支局と知ってさらに愕然とする。 高知支局への異動を前に漁野市の一連の騒動を知り、記者魂をさっそく見せて取材に奔走する中で桑島と出会う。彼女もまた、横谷新市政がもたらす騒動の目撃者として重要なキーパーソンとなる。至って普通だが、仕事への情熱は自らなりたかった職であるから並々ならぬものがある。だが、普段は相当抜けている部分が多い。
『ライアーゲーム』の神崎直がモデルではないか、という声が最も多い。苗字の由来は、大阪市東成区に実在する住居地名・小学校名および地下鉄千日前線『新深江』駅や同中央線『深江橋』駅。
【清水 耕輔<シミズ・コウスケ>】 神奈川県横浜市出身。 『日本新聞』共同発起人の1人にして、東京本社政治部の若きデスク。将来は社主の後継と目されている、社内期待のホープ。 真正保守の政治倫理を見せており、米国やロシアに対する論評は中国や韓国・北朝鮮の比ではない辛らつなものが多く、若き政治ジャーナリストとして国内や海外から注目を浴びている。 希望から外れて、いやいやながら配属されてきた深江の直属の上司にあたり、同時に理解者でもある。彼女の高知支局への異動話にも、社主に彼自ら進言したと噂されているが、その真意は未だもって不明である…
苗字の由来は、静岡市清水区とも言われているが、大阪市旭区に実在する住居地名・小学校名および地下鉄今里筋線『清水』駅(筆者は、前述の清水と区別をつけるために“摂津清水”と呼ぶことが多い)とする説も挙がっている。
【北条 照実<ホウジョウ・テルザネ>】 東京都高尾郡高尾町出身。戸籍上は“北条照實(読みは同じ)”。 戦国大名・小田原北条氏の分家である、甲斐と国境を接する武蔵・高尾山系を本拠地とした北条氏康の三男・氏照を開祖とする高尾北条家の御曹司。“高尾山の悲劇”で有名な八王子城址に近い地にあり、戦死した北条方の慰霊のために建立された八王子神社の神主である父・照允に、母のほか妹・瑞子がいる。 桑島とは高知大の討論サークルにおける先輩と後輩の関係で、彼の理解者でもある。大学卒業後は、東京に戻ってサラリーマン生活をいそしんでいたが、国政の現状を憂うあまり民主自由党(民自党)の衆院選公募に応じ、選考に生き残って高知1区から出馬…当選を果たす。 現在は衆議院議員の1期目だが、現在は最大野党・自由主義平和連合(自平連)に転籍…過度の新自由主義による、彼なりの米国式社会の模倣へ向かうことへの反旗でもある。
作者本人の、国政に対する倫理観の凝縮されたキャラクターの1人である。“照”の字は、高尾北条家の開祖たる北条氏照に由来。高尾北条家では、男子には共通して“照”の字を用いることが義務づけられている設定。
【北条 邦憲<ホウジョウ・クニノリ>】 石川県金沢市出身。 小田原北条氏の分家である、北武蔵の鉢形城(今の埼玉県寄居町)を本拠とした国人・藤田氏の名跡を継いだ北条氏康の四男・氏邦を開祖とする加賀北条家の御曹司。両親と姉がいる。金沢大附高を経て大阪大法学部卒。司法試験は1度も受験していない。 照実よりも政治的なベクトルの向きは右に振り切れており、そもそも民自党にも自平連にも失望の色を隠していないと公言している。正確は冷静沈着で表情の変化も鈍いのだが、その言葉の節々で相手を怒らせること多数。 照実と毛利の2人を軸にした新党結成の構想を信じ(もちろん報道はされていない)、その新党の名をもって自らも石川1区から出馬するつもりでいるらしい。もし結成が間に合わなかったり頓挫した場合でも、すでに無所属での単騎出陣は両親をはじめとして周囲には伝達しているそうだ。
照実に同じく、作者本人の国政に対する倫理観の凝縮されたキャラクターの1人である。しかし、一部には『ライアーゲーム』の秋山深一のような雰囲気も醸し出しているという。“邦”の字は、加賀北条家の開祖たる北条氏邦に由来。加賀北条家では、男子には共通して“邦”の字を用いることが義務づけられている設定。
【毛利 俊就<モウリ・トシナリ>】 山口県防府市出身。 長州藩宗家・毛利氏の某分家の末裔と語り継がれている家系にて育つ。県内の有名県立高から、中国ブロック最高難度の国立広島大を経て広島市内にて就職。のち民自党の衆院選公募に応じ、広島3区より出馬…当選を果たす。照実とは議員としては同期にあたるが、齢は照実より下である。 「安芸の毛利、土佐の北条」 と戦国ファンや政治評論家らに称されるほど、ともに東西にて謀将と恐れられた北条氏康や毛利元就に例えられるか如く、照実とはよき宿敵関係にあたる。 今では2人は別々の政党に党籍をもっているが、同じ超党派議連に積極参加するなど、新進気鋭の若手として照実とともに注目されている。政治信条は政治右派と言えど、照実とはやや方向が違う。 照実が自平連の幹部に怒っているのに同じく、決して彼も民自党の幹部の対応に快く思っているわけではない。
北条氏が東の謀将といわれるように、ならば西の謀将といえる存在を…ということで、最も知名度としても勝る毛利氏を出そうという筆者の願望が生んだキャラである。一説には元就の権謀術数を知り尽くしているため、内閣総理大臣への野望をもっているとささやかれているが…
【中本 行弘<ナカモト・ユキヒロ>】 青森県出身。 元・右翼活動家、インターネット上にブログを置いて日夜記事をアップする、熱心なブロガーでもある。夏の参院選に向けて、政治的な主張を次々と並べ立てて右派政治団体『立憲明政党』を支持する旨を表明し、読者らの反響を生む。自らも同党に入党し、積極的な広報活動ほか 「インターネットこそ、日本の政治を変える原動力になる!」 などと言った強烈な発言が波紋を呼び、さらなるネット上での人気に拍車をかけて急速に党内で台頭するも、ネット上とは異なったリアルの知名度の壁にやられて、想定外の大惨敗を喫する。 リアルでは、とりわけ右翼活動家仲間から蛇笏の如く嫌われている。取材を受ける活動家たちは、彼をこう評している… 「己が野望を実現するため、思想・信条を簡単にかなぐり捨てる卑怯者だ」 「『そんなヤツが政治家を目指すなどと笑止千万!』と斬り捨てる者あり」 また、党の建て直しのため新体制にて党首補佐に就任。また参院選前、横谷との会談で『黎明党』と同盟関係を締結したことも、彼の信頼に大きな影を落としているようだ。
参院選や統一地方選に参戦歴のある政治右派系底辺政党『維新政党・新風』の副党首、かつ同党の支援団体『新しい風を求めてNET連合(新風連)』主宰・瀬戸弘幸氏を、そのままモデルとして移しているとする説が圧倒的多数である。苗字の由来は、大阪市東成区に実在する住居地名および小学校名。
【長谷川 佑次<ハセガワ・ユウジ>】 東京都出身。 『黎明党』発起人にして、初代党首(“総裁”と称していた)。もとい、民自党などに党籍を置いていた元・都議会議員…若い頃に1期務めていたのだが、2期連続当選を阻まれてからは流浪の身になる。 共産党を除く有力政党全てに呆気なく見放された怒りや、もともとからあった基本方針の乖離もあって、自ら政党の発起を決意した…それが『黎明党』である。しかし、党勢の拡大や横谷らの台頭に伴って突然の権限剥奪を受ける(党内クーデターによる)。そののち、横谷ほか彼の支持派・取り巻きにより自宅軟禁に追い込まれ、末期癌を患ってしまい入院…今日に至る。 実質、現状の黎明党は長谷川派と横谷派に分裂したといってよい…彼の取り巻きは、密かに横谷らの失脚を策謀している。しかし、彼はそれに決して快く思っているわけではないのだ…
名前の由来は、ドラマ『ライアーゲーム シーズン1』最終話に北大路欣也さんが特別出演にて演じられたゲームの首領・ハセガワと、『ライアーゲーム』メインキャラのフクナガユウジである。
【逢沢 大介<アイザワ・ダイスケ>】 高知県高知市出身。 高知県警本部警備部公安課の刑事。キャリア組出身に課内を押される中、唯一のたたき上げで出世してきた。地元の大学を卒業後、高知県警に入庁して各警察署や部課を転々として現職に。相当な熱血漢で、課内でのトラブルが原因で異動を命じられること多数。 高知県内はもちろん、各地に情報屋を放って情報収集に躍起になっており、イデオロギーやカルト宗教団体に関しての研究は特に熱心である。 横谷が漁野市長選に立候補してから、彼のエキセントリックな政策の数々のルーツを極秘裏に調べてのち、和平神教の存在と彼らのおぞましきカルト性を知ることで、“反・横谷市政”をただ1人真正面から掲げている桑島らと積極的に関わってくることになる。
こういう展開には、公安警察の陰も入れておいたほうがよいのではないか…という、これもまた作者の願望が生んだキャラである。
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