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Link 〜過去の住む家〜 作者:藤野麻衣

第6回   #Nightmare 4# 白いアスター
セピア色の世界の中に俺は、居た。
目の前に広がるのは「見慣れていた」景色。
夢の中? それとも、俺の記憶の中だろうか?
………いや、違う。
俺の目の前に「俺」が居た。まだ小さい。
「父さん! 母さん! あいつ等がやってくる!」
子供の俺は窓の外を見ながら、悲鳴に近い声をあげていた。
そして、子供の俺に2つの大きい影が近寄る。
俺は必死にその影追って、2人の顔を見た。
…………………懐かしい。父さん、母さんだ。
「本当。早く逃げないと」
母さんが部屋の奥へ消えていった。きっと、俺の兄妹を探しに行ったのだろう。
「駄目だ。相手は早すぎる」
窓の外を見ながら父は呟いた。
そして、子供の俺の方に顔を向けて、言った。
「アラン。兄さん、妹を連れて今すぐ逃げろ」
「でも、父さんは? 母さんは? 此処に居たら危ないよ」
母さんが部屋に兄と妹を連れて戻ってきた。
「大丈夫よ。アラン。私達は彼らを止めたら、すぐ行くから」
「でも…っっ」
「早く行けっっ!!」
半ば強引に、家を追い出された。
兄さんが俺と、妹の手を引っ張って、家の裏にある森へ連れて行く。
俺の中に蘇る、あの時の感覚。
苦しくて、哀しくて、だけどどうしようもなかった。
母さんは「すぐ行く」と言っていた。
だけど、俺には…多分、兄妹にも分かっていたんだ。
2度と父さん、母さんには会えないだろうって事を。
「父さん! 母さん!」
子供の俺は必死になって、家の方を振り返っている。
その姿を見ている俺は、胸が張り裂けそうな思いだった。
今でも、この日の事は鮮明にオボエテイル―――…。

『――違う。もっと前――』

セピア色の世界の中で、急に知らない女の声が割り込んだ。
そして一瞬その中の時が止まり、セピア色の世界が渦に包まれる。
そうまるで…………ビデオを巻き戻したり、早送りするように。

『――此処――』

その声と共に、また、セピア色の世界が戻ってきた―――……。


  バチンッッ


頬に強い衝撃を受けて、俺は現実に引き戻される。
恐る恐る目を開けると、そこには泣きそうな顔をしたスミレが待っていた。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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