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Link 〜過去の住む家〜 作者:藤野麻衣

第3回   #Nightmare 1# 初まりの予感
その家の敷居を跨いだ瞬間、彼女は何かがおかしい。と思ったらしい。
珍しく、俺の目を見て言った。
「ねぇ…アラン。この家…かなり負の感情に支配されてる……」
「そうか? 俺には全くわからないけど」
その家は、かなり古かった。
家の周りの草は伸び放題。折角のレンガ造りなのに蔦が絡まって、雰囲気が悪い。
蔦の隙間から見える屋敷の窓はステンドガラスっぽかった。
建てられた当時はかなり美しい屋敷だったんだろう。
「まぁ、中に入ってみようか。スミレ」
彼女の話を軽く受け止めて、続けた。
ちなみに、不動産会社の奴は急用が入ったとかでドタキャン。結局2人で見に来ることに。
「ったく…不親切な会社だよなぁ…」
ぶつぶつ言いながら屋敷に一歩足を踏み入れる。

その瞬間。

後ろから思いっきり腕を引っ張られた。
「どーしたんだよ、スミレ」
普段なら、彼女は俺が触れる事も拒むはずなのに。
彼女はしっかりと俺の腕を掴んでいた。
多分、結婚式以来だと思う。
「もう、後戻りは出来ない。って言ってる。だから、離しちゃ駄目だよ」
それは突然だった。
俺には彼女が何を言っているかが分からなかった。
「スミレ…何言ってるんだ? 急に」
「この家が、言ってる。私たちはこの屋敷に足を踏み入れてしまった。後戻りは出来ないって」
こういう出来事は珍しくなかった。
だって彼女は元悪魔≠セったから。
「どうして。後戻りは出来ないんだ?」
「分からない。だから離さないで。私の手を」
そう、やはり結婚式以来だった。彼女と手をつなぐのは。
何年経っても鈍ることの無い。彼女の勘。
小さい手が俺の手を握っていた。

カーン カーン カーン カーン

この家にある筈の無い、鐘の音が鳴る。
その音は、俺達にこれからくるものを「警告」していた。
俺の手を握る彼女の手に力が入る。
「アラン、来るよ…」

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Novel Editor by BS CGI Rental
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