「まだかな」 今度J≠ェ来たら、色々と聞いてやるんだ。 そう決めたから。ずっと待ってるのに────。 「Jの奴、遅いんじゃ馬鹿野郎ーっ!!」 手に持っていたクッションを思いっきり壁に投げつける。 本当に不思議な人なんだから──……。 「呼びましたか?」 「うわっっ! 吃驚させないでよ!」 突然横に現れたJに思わず、大きな声を出す。 「呼んだのは貴方です」 Jって呼んだら出てくるんだ…知らなかった。 さて、本人も登場したので早速…。 「Jはどーして魔法使いなの?」 唐突に。 「…秘密です。それが聞きたくて呼んだんですか?」 コクンと頷く。…やっぱり教えてくれなかった…。 「帰ります」 そ…そんなぁ〜っ。まだ来たばっかりなのにー! どうにかして引き留めて…。 「J! これあげる! 私が作ったの」 咄嗟に取り出したのは、数日前に作った手作りクッキー。 Jは一枚手にとって口に入れた。 「まぁまぁ…ですね」 不味くなくて良かった…と一安心。 「今度はもっと上手に作ってやる!」 「また作るんですか? 今度は食べませんよ?」 ムムム。 「良いじゃん。これくらい」 「貴方の願いを教えてくれたら良いですけど」 ま…また…。 「だから無いって」 「…では帰ります」 そんな…願い事なんて…っ! 慌てている私を見てJの顔が変化する。 微笑んでいる。じゃなくて。
笑顔
に。 「本当に貴方は…っ」 結局聞きたい事は聞けず、失敗だったけど。 Jが笑ってくれたから。まぁ、良いか。
|
|