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陰影 作者:藤野麻衣

第19回   *17* 本物だけに見える真実
周りに広がっているのは、あの時と同じ。眩しい、不思議な世界。
全て光から成り立っている、闇など少しも無いような。
あの、大きく深い光の中に…………神は居る。
「J。どうかしたのか?」
光の奥から、深く響くような声がする。
………迷うことなく、光の奥を見つめながら口を開く。
「私にはあの3人の命を奪うことは出来ません」
私はキッパリと言い切った。
「願い事は良いのか?」
もし、あの時聞こえた声がホンモノなら…もう、大丈夫だろう…。
「はい」
もう決めた。未練はない。
「未練はない」今、自分自身に言い聞かせるただ1つの言葉。
だけど……出来ることなら……。
「合格じゃ」
「は?」
突拍子のない答えに、思わず気の抜けた声を出してしまう。
「そなたの願いを叶えよう…」
「何故…私は…成し遂げていないのに…」
何が起こっているのか? 何がどうなっているのか?
分からない。自体が飲み込めない。
「………これは、偽善者とを見分けるテストじゃ。うわべだけ良い人なら、世の中には沢山居る。しかし、中身がそぐわなければ意味がない。どんなに良い人≠セったとしても、自分の願い事…欲望に飲み込まれてしまう者は天国には行けないのじゃ」
あまりの事に唖然としてしまう。
でも…これが正真正銘の真実なら…。
「そなた願い事はなんじゃ?」
今、私が『心から』と思う願い事。それは。
『ジュール、私達頑張って前に進むからね』
家族の顔が、白柳葵、琉季亜・リオ、そして乃絵・ミドルトンの顔が、脳裏に浮かぶ。
私はしっかりと、光の奥に居るであろう神を見つめた。
「私の願い事は…」

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Novel Editor by BS CGI Rental
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