周りに広がっているのは、あの時と同じ。眩しい、不思議な世界。 全て光から成り立っている、闇など少しも無いような。 あの、大きく深い光の中に…………神は居る。 「J。どうかしたのか?」 光の奥から、深く響くような声がする。 ………迷うことなく、光の奥を見つめながら口を開く。 「私にはあの3人の命を奪うことは出来ません」 私はキッパリと言い切った。 「願い事は良いのか?」 もし、あの時聞こえた声がホンモノなら…もう、大丈夫だろう…。 「はい」 もう決めた。未練はない。 「未練はない」今、自分自身に言い聞かせるただ1つの言葉。 だけど……出来ることなら……。 「合格じゃ」 「は?」 突拍子のない答えに、思わず気の抜けた声を出してしまう。 「そなたの願いを叶えよう…」 「何故…私は…成し遂げていないのに…」 何が起こっているのか? 何がどうなっているのか? 分からない。自体が飲み込めない。 「………これは、偽善者とを見分けるテストじゃ。うわべだけ良い人なら、世の中には沢山居る。しかし、中身がそぐわなければ意味がない。どんなに良い人≠セったとしても、自分の願い事…欲望に飲み込まれてしまう者は天国には行けないのじゃ」 あまりの事に唖然としてしまう。 でも…これが正真正銘の真実なら…。 「そなた願い事はなんじゃ?」 今、私が『心から』と思う願い事。それは。 『ジュール、私達頑張って前に進むからね』 家族の顔が、白柳葵、琉季亜・リオ、そして乃絵・ミドルトンの顔が、脳裏に浮かぶ。 私はしっかりと、光の奥に居るであろう神を見つめた。 「私の願い事は…」
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