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陰影 作者:藤野麻衣

第18回   *16* 己よりも大切なもの
「ちょ…乃絵、何言って…っ!!?」
最初はJの事、凄く変な奴だと思ってた。
だけど…人の心は、気持ちは変わるもの。
「今はもう、友達って感じだもん。友達を助けるのは当たり前でしょ?」
あのJが涙を流す程、苦しんでいるのは嫌。
今までやってきたことも本心じゃなかったんだと思う。
ただ、そう思いたいだけなのかもしれない。でも。
私は「信じる」方に賭けたから。
「じゃあ、俺もやる。だって俺もJの友達だ」
「乃絵さん…琉季亜さん…」
本当は…死ぬのは凄く怖い。だけどそれで何か変わるのなら。
他の人から見たら、これはただの「綺麗事」かもしれない。
だけど、理屈でも何でもなく、体が勝手に動いてしまう。
それが…本当に誰かを「想う」って事でしょう?
「天国にはお父さんもいるし、別に永遠の別れじゃないでしょ? 大丈夫」
私の横で黙って聞いていた葵も遂に頷く。
「しょーがないなー。私もあげるよ」
Jの願いを叶えるには、3人の命が必要。
「しかし…3人とも…良いんですか?」
「「「良いよ」」」
目の前にいるJの顔には迷いの表情が出ている。
大丈夫。これを何度も頭の中で繰り返す。
「願いは…?」
私達3人は大きく息を吸って言った。
「「「私達がいなくなっても、誰も悲しみませんように」」」
Jのように苦しむ人がどうか、2度と出ませんように。
「3人とも有難うございます…」
Jの声が聞こえる。大丈夫だよ。仲間がいるから。
もう1人じゃない。支えてくれる人がいるから。
「でも…私には無理です」
眩しくて目が開けられない程の光が溢れる。
目をあけたとき、周りに広がっていたのは何時もと変わらない風景。
だけど、葵と琉季亜は隣にいるのに…Jはいくら捜しても見つからなかった。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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