「ちょ…乃絵、何言って…っ!!?」 最初はJの事、凄く変な奴だと思ってた。 だけど…人の心は、気持ちは変わるもの。 「今はもう、友達って感じだもん。友達を助けるのは当たり前でしょ?」 あのJが涙を流す程、苦しんでいるのは嫌。 今までやってきたことも本心じゃなかったんだと思う。 ただ、そう思いたいだけなのかもしれない。でも。 私は「信じる」方に賭けたから。 「じゃあ、俺もやる。だって俺もJの友達だ」 「乃絵さん…琉季亜さん…」 本当は…死ぬのは凄く怖い。だけどそれで何か変わるのなら。 他の人から見たら、これはただの「綺麗事」かもしれない。 だけど、理屈でも何でもなく、体が勝手に動いてしまう。 それが…本当に誰かを「想う」って事でしょう? 「天国にはお父さんもいるし、別に永遠の別れじゃないでしょ? 大丈夫」 私の横で黙って聞いていた葵も遂に頷く。 「しょーがないなー。私もあげるよ」 Jの願いを叶えるには、3人の命が必要。 「しかし…3人とも…良いんですか?」 「「「良いよ」」」 目の前にいるJの顔には迷いの表情が出ている。 大丈夫。これを何度も頭の中で繰り返す。 「願いは…?」 私達3人は大きく息を吸って言った。 「「「私達がいなくなっても、誰も悲しみませんように」」」 Jのように苦しむ人がどうか、2度と出ませんように。 「3人とも有難うございます…」 Jの声が聞こえる。大丈夫だよ。仲間がいるから。 もう1人じゃない。支えてくれる人がいるから。 「でも…私には無理です」 眩しくて目が開けられない程の光が溢れる。 目をあけたとき、周りに広がっていたのは何時もと変わらない風景。 だけど、葵と琉季亜は隣にいるのに…Jはいくら捜しても見つからなかった。
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