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陰影 作者:藤野麻衣

第17回   *15* もう隠せない。もう隠さない。
頭が痛い。でも行かなければならない。
呼ばれているから。3人の声が聞こえているから。

「どうかしました…?」
3人の、全てのターゲットが目の前にいる。
いつもの私だったら動揺したでしょう。だけど…。
「J。教えて欲しいことがあるの」
分かっています。気付いています。3人の声が聞こえたときから。
「魔法使いの話は全て、真実です」
何かを言われる前に。もう隠せないことは知っていますから。
目の前に居る3人を傷つけているのは分かっています。
だけど……もう隠すことも、偽ることもできない。
3人にも。そして、自分自身にも。
「J…どうして…」
どうして。そう、どうしてこうなってしまったのか。
「私は事故で死にました。家族と一緒にいる中で…。あれ以来、私の家族は苦しんでいます。家族全員居た中で、私だけが死んだから。…私の願いは…もう一度、家族の笑顔を見ることでした」
私が想い、望む事はそれだけだった。それだけだったはずなのに――――……。
「――――――………っっ」
頭が痛い。何を言って良いのか分からない。
目からあふれ出てくる液体が何なのかも分からない。

『ジュール。私達、頑張って前に進むからね』

「J…」
自分が分からない。私は一体何をしたい?
頭の中に響く懐かしい声が、私を混乱させる。
「J。私の命、あげる」
そう言ったのは1人目のターゲット、乃絵・ミドルトンだった。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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