頭が痛い。でも行かなければならない。 呼ばれているから。3人の声が聞こえているから。
「どうかしました…?」 3人の、全てのターゲットが目の前にいる。 いつもの私だったら動揺したでしょう。だけど…。 「J。教えて欲しいことがあるの」 分かっています。気付いています。3人の声が聞こえたときから。 「魔法使いの話は全て、真実です」 何かを言われる前に。もう隠せないことは知っていますから。 目の前に居る3人を傷つけているのは分かっています。 だけど……もう隠すことも、偽ることもできない。 3人にも。そして、自分自身にも。 「J…どうして…」 どうして。そう、どうしてこうなってしまったのか。 「私は事故で死にました。家族と一緒にいる中で…。あれ以来、私の家族は苦しんでいます。家族全員居た中で、私だけが死んだから。…私の願いは…もう一度、家族の笑顔を見ることでした」 私が想い、望む事はそれだけだった。それだけだったはずなのに――――……。 「――――――………っっ」 頭が痛い。何を言って良いのか分からない。 目からあふれ出てくる液体が何なのかも分からない。
『ジュール。私達、頑張って前に進むからね』
「J…」 自分が分からない。私は一体何をしたい? 頭の中に響く懐かしい声が、私を混乱させる。 「J。私の命、あげる」 そう言ったのは1人目のターゲット、乃絵・ミドルトンだった。
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