■ トップページ  ■ 目次  ■ 一覧 

陰影 作者:藤野麻衣

第15回   *13* 1つに繋がる
きっとそれは必然的だった。
何かに、神に導かれ、元々こうなることが決まっていたかのように。
偶然や奇蹟の域を超えた。それを運命≠ニ人は呼ぶ。
「この絵…J…なのか…?」

「俺は琉季亜・リオ。この絵画展のスポンサーなんだ。俺ん家」
ある日の昼下がり。あれからたったの数日で。
「乃絵・ミドルトンです」
「私は白柳葵。あの絵描いたの私ね」
目の前に居る3人目のターゲット
これでJに関わっている全ての人が揃った。
そう、私が葵と出会ってから1週間も経っていないのに。
これが単なる偶然? それともこれが奇跡的な出来事?
「ところで何だ? 話って」
目の前に居る2人目と3人目のターゲットを見るたびに心が揺れる。
琉季亜・リオに御伽話…真実を伝えるたび心が痛む。
Jを信じたいと思う心の裏にある、大きな恐怖感。
ウラギリコウイ。カレハダレモシンジテイナカッタ?
時折、言葉が詰まる。葵が私をフォローする。
「そうか」
話を聞き終えた後の彼は驚くほど落ち着いていた。
「Jの願い事って何なんだろうな…」
私達を消してまで叶えたいJの願い。
駄目だ。信じるって決めたのに。心、揺れていては…。
「なぁ」
俯き、黙り込む私と葵に、琉季亜はしっかりとした口調で言った。
「本人…Jに直接聞いてみようぜ」
「え?」
ダレカシンジルコト。ダレカヲオモウコト。
「これだけじゃ俺、納得できない。何時までも曖昧なまま悩んでるより、Jの口から聞いて、しっかり考えてぇから」
ソレハスベテジブンシダイ。

← 前の回  次の回 → ■ 目次

Novel Editor by BS CGI Rental
Novel Collections