「え…? お母さんその話…」 「私が知ってるのは此処までよ」 私はその場に呆然として立ちつくしていた。 あのJが私達の命を奪おうとしている…? もし、御伽話が本当なら、Jが接触しているのは私以外にも2人いて…。 「どうかした、乃絵?」 何処に行けばいいかなんて分からなかったけど。体は勝手に動いた。 「お母さん! 私出掛けてくるっ!!」
「少し久しぶりだな。J」 「はい」 この人、琉季亜・リオに会うと少し安心する私がいる。 同じ『能力持ち』だからでしょうか? それとも……。 「J。顔色悪いぞ。大丈夫か?」 最近、考え込んで休む暇もないくらいで。 遂にそれが表面に出てきてしまった。 「大丈夫です。心配して下さって有難うございます」 顔を伏せて言った。これ以上見られると、私の考えている事まで見透かされてしまうようで…怖い…です。 「あのさ。J。願い事のことなんだけど」 不意打ちの話題に思わず顔を上げる。 「はい?」 「やっぱいい。もう願い事、もしかしたら叶っちまったかもしれねぇから」 「え…?」 琉季亜・リオと目が合う。 彼は悪戯っぽくにやりと笑って言った。 「俺達もう、友達だろう?」 普通なら嬉しいはずの、その言葉が胸に突き刺さる。
私がやっているのは正しいことなんでしょうか? 誰かの命を奪ってまで叶えたい願いだったでしょうか? 私はもう…何も…分かりません。
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